東南アジア諸国連合(ASEAN:Association of South‐East Asian Nations)は、東南アジア10か国からなる地域協力機構であり、経済成長、社会・文化的発展の促進、政治・経済的安定の確保、域内諸問題に関する協力を主な目的としており、「ASEANデジタル大臣会合(ADGMIN)」においてデジタル分野における政策が協議されている。
2021年(令和3年)1月に策定された「ASEANデジタルマスタープラン2025」の目標達成に向けて、我が国は日ASEAN間の今後の1年間のICT分野における協力・連携施策に関する「日ASEANデジタルワークプラン」を毎年提案し、ASEAN側から承認を得た上で様々な協力を実施している。例えば、我が国拠出金により設立された日ASEAN情報通信技術(ICT)基金などを活用しASEAN各国と共同プロジェクトを実施しており、2023年度(令和5年度)は、「日ASEAN Open RANシンポジウム」を開催した。
現在、日ASEANサイバーセキュリティ能力構築センター(AJCCBC:ASEAN Japan Cybersecurity Capacity Building Centre)12で、ASEAN各国の政府機関及び重要インフラ事業者のサイバーセキュリティ担当者を対象として、実践的サイバー防御演習(CYDER)をはじめとするサイバーセキュリティ演習などをオンライン形式又は実地形式にて継続的に実施している。2023年(令和5年)からは新たなプロジェクト体制のもと、2027年(令和9年)まで演習コンテンツなどの充実化を図りながら活動が継続される予定となっている。
また、総務省では、ASEAN各国のISP事業者を対象とした日ASEAN情報セキュリティワークショップを定期的に開催するなど、関係者間の情報共有の促進及び連携体制の構築・強化を図っている。2024年(令和6年)3月に会合を実施し、日本およびASEAN各国間のサイバーセキュリティ分野における協力・連携関係の維持・発展を図っている。
2023年(令和5年)は、日本ASEAN友好協力50周年を迎える重要な節目の年であり、日ASEAN関係の更なる強化が求められると同時に、我が国のデジタル技術のASEAN地域への一層の展開を図る好機であった。総務省としても、日ASEANデジタル大臣会合(2023年2月、フィリピン)にて承認された「日ASEANデジタルワークプラン2023」を踏まえ、日本ASEAN友好協力50周年事業として日ASEAN ICT基金の活用等により、「日ASEAN Open RANシンポジウム」を開催するなど、ASEAN地域のデジタル政策の目標と整合的な形で支援を行いながら、日ASEAN関係やASEAN諸国との二国間関係の深化に貢献した。また、2023年(令和5年)12月に東京で開催された日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議では、日ASEAN友好協力に関する共同ビジョン・ステートメントが採択され、ASEAN加盟国におけるOpen RAN等のイノベーションへのアクセスに対する支援などが盛り込まれた。
12 AJCCBC:https://ajccbc.ncsa.or.th/