総務省トップ > 政策 > 白書 > 令和6年版 > ICT分野における新たな技術の研究開発例:IOWN光電融合デバイス
第Ⅱ部 情報通信分野の現状と課題
第1節 ICT産業の動向

(5) ICT分野における新たな技術の研究開発例:IOWN光電融合デバイス

「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想」とは、NTTが主導するあらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、多様性を受容できる豊かな社会を創るため、光を中心とした革新的技術を活用し、これまでのインフラの限界を超えた高速大容量通信ならびに膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想である。

IOWN構想における光電融合技術は、電気信号を扱う回路と光信号を扱う回路を融合する技術であり、サーバー間連携やコンピュータ内部の通信などで大量のデータを高速転送する必要がある場合に特に重要となる。光電融合デバイスは、電子デバイスと光デバイスを一つのシステムに統合することで、データ転送の速度を向上させ、エネルギー効率の改善が可能となり、IOWN構想において必要不可欠な存在である。IOWN2.0で開発されるボード接続用光電融合デバイスは、タイル型光エンジンによりボード間の光接続を実現するもので、装置の低消費電力化とパフォーマンス向上を図っている。これにより、APN(All-Photonics Network)の低遅延化だけでなく大容量・低消費電力化も促進される。さらにIOWN3.0で開発されるチップ間接続用光電融合デバイスは、光電融合部をパッケージ内シリコン(ダイ)の横に設置し、パッケージ間の光接続を実現し、ボードのさらなる小型化と低消費電力化が可能となる。IOWN2.0ではボード間接続の光化、IOWN3.0ではチップ間接続の光化、IOWN4.0ではチップ内の光化が実現予定である。2025年度にはIOWN2.0としてボード接続用デバイスを、2028年度にはIOWN3.0としてチップ間向けデバイスを、そして2032年度以降にはIOWN4.0としてチップ内光化を達成し、電力効率100倍の新たなデバイスの実現を目指すとされている(図表Ⅱ-1-1-1617

図表Ⅱ-1-1-16 IOWN光電融合デバイス開発
(出典)日本電信電話株式会社(2023)「IOWN Technology Report2023」


17 https://www.rd.ntt/download/NTT_IOWN_TR2023_J.pdfPDF(2023/12/22参照)

テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る