国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が運用している大規模サイバー攻撃観測網(NICTER)のダークネット観測で確認された2023年の総観測パケット数(約6,197億パケット)は、2015年(約632億パケット)と比較して9.8倍となっているなど、依然多くの観測パケットが届いている状態である(図表Ⅱ-1-10-3)。また、2023年の総観測パケット数は各IPアドレスに対して14秒に1回観測されたことに相当する。
なお、2023年は過去最高の観測数を記録しており、インターネット上を飛び交う観測パケットは2022年と比較して更に活発化している状況であると言える。
NICTERでのサイバー攻撃関連の通信内容をみると、2022年と同様にIoT機器を狙った通信が多く観測され、サイバー攻撃関連通信全体の約3割を占めている。また、HTTP・HTTPSで使用されるポートへの攻撃についても同程度の割合で観測されている(図表Ⅱ-1-10-4)。
また、2023年中の不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成11年法律第128号。以下「不正アクセス禁止法」という。)違反事件の検挙件数は521件であり、前年と比べ1件減少した。
【関連データ】不正アクセス禁止法違反事件検挙件数の推移
出典:警察庁・総務省・経済産業省「不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況」を基に作成
URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/datashu.html#f00300(データ集)
近年ではランサムウェアによるサイバー攻撃被害が国内外の様々な企業や医療機関等で続き、国民生活や社会経済に影響が出る事例も発生している。また、2023年3月には「Emotet(エモテット)」の活動再開が確認され、同月、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)やJPCERT/CCより注意喚起が実施された。最近では日本の政府機関・地方自治体や企業のホームページ等を標的としたDDoS攻撃により、業務継続に影響のある事案も発生し、国民の誰もがサイバー攻撃の懸念に直面している。
こうした依然として厳しい情勢の下、直近では、大型連休がサイバーセキュリティに与えるリスクを考慮し、2023年4月に経済産業省、総務省、警察庁、NISCより春の大型連休に向けて実施が望まれる対策について注意喚起が実施された。