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特集② 進化するデジタルテクノロジーとの共生
第2節 AIに関する各国の対応

(1) 欧州連合(EU)

域内発のビッグテック企業が無い欧州は、他の地域に先駆けて最も厳しい規制を志向し、2020年からAIの規制に関する議論を続けてきた。2024年5月21日には、欧州市場でAIシステムを開発・提供・利用する事業者を対象とする、法的拘束力を持つ世界初の包括的なAI規制法と位置付けられるAI法(AI Act)10(以下「AI法」という。)が成立した。AIの規制に関する包括的な法律の成立は主要国・地域で初めてとされており、今後段階的に適用が開始され、2026年頃には本格的に適用される見込みである。

AI法は、リスクに応じて規制内容を変える「リスクベースアプローチ」という方針に基づいている。規制対象を、①許容できないリスク、②高いリスク、③限定的なリスク、④最小限のリスク、という4段階のリスクレベルのAIアプリケーション及びシステムに分類し、それぞれに対して異なる規制を課すこととしており11、上記の規制に違反した事業者には、最も重い違反の場合、最高で3,500万ユーロ(約56億円)の罰金、あるいは年間売上高の7%の制裁金が科される可能性がある12図表Ⅰ-4-2-1)。

図表Ⅰ-4-2-1 AI法におけるリスクベースアプローチ
(出典)European Commission(2024)13を基に作成


10 European Commission, “AI Act”,<https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/policies/regulatory-framework-ai別ウィンドウで開きます>(2024/3/2参照)

11 European Parliament, “Artificial intelligence act”,<https://www.europarl.europa.eu/RegData/etudes/BRIE/2021/698792/EPRS_BRI%282021%29698792_EN.pdfPDF>(2024/3/12参照)

12 「EUがAI開発・運用を法で規制…学習データの著作権保護、違反事業者に制裁金56億円」,『読売速報ニュース』2024年3月13日号

13 European Commission, “AI Act”,<https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/policies/regulatory-framework-ai別ウィンドウで開きます>(2024/3/15参照)

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