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第Ⅱ部 情報通信分野の現状と課題
第6節 ICT利活用の推進

4 日本社会全体の活性化等に向けたデータ流通社会の実現

(1) 防災情報システムの整備

我が国は世界有数の災害大国であり、大規模な自然災害が発生する都度、社会・経済的に大きな損害を被ってきた。今後も南海トラフ地震をはじめとする大規模な自然災害の発生が予測される中で、ICTを効率的に活用し災害に伴う人的・物的損害を軽減していくことが重要である。

ア 災害に強い消防防災通信ネットワークの整備

被害状況などに係る情報の収集及び伝達を行うためには、災害時にも通信を確実に確保できる通信ネットワークが必要である。このため、現在、国、消防庁、地方自治体、住民などを結ぶ消防防災通信ネットワークを構成する主要な通信網として、①政府内の情報の収集及び伝達を行う中央防災無線網、②消防庁と都道府県を結ぶ消防防災無線、③都道府県と市町村などを結ぶ都道府県防災行政無線、④市町村と住民などを結ぶ市町村防災行政無線、⑤国と地方自治体又は地方自治体間を結ぶ衛星通信ネットワークなどが構築されている。また、衛星通信ネットワークについては、高性能かつ安価な次世代システムの導入に関する取組などを進めている。

イ 災害対策用移動通信機器の配備

総務省では、携帯電話などの通信が遮断した場合でも被災地域における通信が確保できるよう、地方自治体などに、災害対策用移動通信機器を貸し出している(2024年(令和6年)4月現在、簡易無線1,065台、MCA無線179台及び衛星携帯電話106台を全国の総合通信局等に配備)。また、令和6年能登半島地震を受け、衛星携帯電話の台数拡充、衛星インターネット機器や公共安全モバイルシステム等の整備を実施した。これらの機器は、避難所における通信環境構築のほか、初動期における被災情報の収集伝達から応急復旧活動の迅速かつ円滑な遂行までの一連の活動に必要不可欠な情報伝達を補完するものとして活用されている。

ウ 災害時の非常用通信手段の確保

災害時などに公衆通信網による電気通信サービスが利用困難となるような状況などに備え、総務省が研究開発したICTユニット(アタッシュケース型)を2016年度(平成28年度)から全国の総合通信局等に配備し、地方自治体などの防災関係機関からの要請に応じて貸し出し、必要な通信手段の確保を支援する体制を整えている(2024年(令和6年)4月現在、25台を全国の総合通信局等に配備)。

エ 全国瞬時警報システム(Jアラート)の安定的な運用

消防庁では、弾道ミサイル情報、緊急地震速報、大津波警報など、対処に時間的余裕のない事態に関する情報を、携帯電話などに配信される緊急速報メール、市町村防災行政無線などにより、国から住民まで瞬時に伝達するシステムである「全国瞬時警報システム(Jアラート)」を整備している。Jアラートによる緊急情報を迅速かつ確実に伝達するため、Jアラート関連機器に支障が生じないよう正常な動作の確認の徹底を市町村に対し呼びかけるとともに、Jアラートの情報伝達手段の多重化を推進している。

オ Lアラートの活用の推進

総務省では、地方自治体などが発出する避難指示などの災害関連情報を多数の放送局やインターネット事業者など多様なメディアに対して一斉に送信する共通基盤(Lアラート)の活用を推進している。Lアラートは、全47都道府県での運用が実現するなど全国的な普及が進み、災害情報インフラとして一定の役割を担うに至っている。

総務省では、Lアラートの更なる普及・利活用の促進のために、Lアラートを介して提供される災害関連情報の地図化に係る実証に取り組んだほか、地方自治体職員などの利用者を対象としたLアラートに関する研修などを行ってきた。さらに、災害情報を迅速・的確に国民に伝えることが高い公共性を有することを踏まえ、政府全体で進められている防災DXの取組に寄与することも念頭に置きつつ、Lアラートの機能拡大等について検討を進めている。

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