1でみたとおり、規格を統一することには正の効果もあるが、一方で事業者の数が限られることで競争が制限され、消費者の利益が阻害される側面もある。
独占や寡占には、次のような弊害があると考えられる。
プラットフォームの課題についてスマートフォンに関連した身近な事例を通して具体的に考察するべく、アプリマーケットを取り上げることとしたい。
スマートフォンの台数の増加に応じて、モバイル向けアプリのダウンロード数も増加している。これまではゲームが先行してモバイル向けコンテンツ市場のけん引役になってきたが、今後はエンターテインメント・音楽やソーシャル、コミュニケーションといったゲーム以外のアプリの成長が期待される(図表1-3-1-6)。
一方で、アプリマーケットのこれまでの変遷をみると、撤退を余儀なくされたマーケットがあるほか、消費者向けアンケートを基に現状をみると、利用されるマーケットが偏在している傾向にある(図表1-3-1-8、図表1-3-1-9)。
アプリマーケットの課題として、経済産業省「第四次産業革命に向けた横断的制度研究会 報告書」では、下記の7点を挙げている。
① 決済手段に対する拘束
② 硬直的な価格体系
③ アプリ間で共通の仮想通貨の禁止
④ 自らの提供するアプリと競合するアプリの排除
⑤ 販売や返金処理等に関する情報提供の少なさ
⑥ 不透明な審査基準とその運用
⑦ 秘密保持契約の締結
消費者はこれらについて課題と認識しているのか、アンケートにて尋ねた(図表1-3-1-10)。
「自分の利用情報がマーケット提供事業者にどのように利用されているかわからない」との回答が最も多く、38.0%となっている。事業者と消費者との間で情報の非対称性が存在することを示唆している。また、アプリ提供者が認識するほどには消費者はアプリ利用の課題を認識していないことが伺われる。