総務省トップ > 政策 > 白書 > 29年版 > 個人情報の取扱いに関する課題
第1部 特集 データ主導経済と社会変革
第2節 熊本地震におけるICT利活用状況に関する調査結果

(4)個人情報の取扱いに関する課題

災害時の個人情報の取扱いに関する課題については、情報提供側である被災者等と、情報収集側である自治体・避難所関係者の双方にアンケートを実施した。

また、情報提供側は、自らの個人情報を自治体や・避難所等で避難者名簿への記入や行政手続きの際に提供する被災者のほか、その収集情報について問い合わせてくる家族や連携団体に業務遂行のために提供する自治体・避難所に大別できる。

被災者による個人情報の提供については、課題があると回答した人は7.1%であり、東日本大震災時の13.3%と比較すると低くなっている。具体的な課題としては、個人情報利用・保護に係る課題と個人情報提供手続の煩雑さが挙げられているが、例えば、避難所においてマイナンバーカードを活用することで被災者の避難状況等の効率的な把握が可能となる7

また、自治体や避難所等の情報集約機関による個人情報の提供については、連携機関との情報連携には概ね問題がなかった一方、6.9%の団体が問い合わせ対応に課題があるとしている(図表5-2-2-19)。

図表5-2-2-19 個人情報の提供に関する課題
(出典)総務省「熊本地震におけるICT利活用状況に関する調査」(平成28年)
「図表5-2-2-19 個人情報の提供に関する課題」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

情報収集側である自治体・避難者にもアンケートを実施した。収集側の課題も、自治体や避難所等が被災者自身から個人情報を収集する際の課題(直接収集)と、連携機関に対し、業務上の必要性から個人情報の提供を求めた場合の課題(間接収集)に分けられる。被災者に対する個人情報の直接収集については、99%が課題なしとしており、「災害時なので個人情報の扱いを懸念する人はいなかった」、「被災者地震も、具体的な個人を特定してやり取りすることが身を守ることにつながるという意識があった」といった回答があった。一方で、自治体や避難所等の情報集約を行った関係機関に対する個人情報の収集についても、91%が課題なし、「震災以前から、自治体と災害協定を締結していたため、支援に必要な情報を問題なく提供してもらうことができた」と言った声があった。このことからわかるように、平時の災害協定の締結や発災後の協定の運用の在り方を検討する必要がある。

以上のように、個人情報の提供及び収集に関しては、災害時に生命や財産を守るための必要性という観点から個人情報の提供について情報の中身そのものに対する課題は見られないものの、情報の提供手続に対する煩雑さや共有の難しさなどの課題がある。情報の提供手続については、避難状況等を効率的に自治体や避難所等が把握できる手段としてマイナンバーカードを活用していく必要があると考えられる。



7 マイナンバーカードとテレビを活用して、災害発生時に個人に最適な避難指示と避難所における住民の状況把握及び適切な支援等を行う実証事業を2015年及び2016年に実施。
http://www.bousai.go.jp/oukyu/hinankankoku/pdf/sankojireishu.pdfPDF(事例6参照)

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