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第1部 特集 データ主導経済と社会変革
第3章 第4次産業革命がもたらす変革

第3章 第4次産業革命がもたらす変革

2017年6月9日、政府は「未来投資戦略2017」及び「経済財政運営の基本方針2017」を閣議決定した。それらの中で、中長期的な成長を実現していくため、第4次産業革命の技術革新をあらゆる産業や社会生活に取り入れることにより、様々な社会課題を解決するSociety 5.0を世界に先駆けて実現することとしている。

第4次産業革命の根源となるのが、第2章で取り上げた「データ」である。社会の至るところに存在する多様なデータを最大限活用するには、データを容易に入手でき、自ら利用でき、さらにそれがスムーズに流通できるようになることが前提となる。

ここまで、第1章においてはデータを生成する重要な手段の一つとしてのスマートフォンがもたらす経済的インパクト等について取り上げ、第2章においてはデータの流通・利活用をめぐる状況を整理した。スマートフォンをはじめとする多様なツールで様々なデータを収集し、そのデータを蓄積(ビッグデータ化)し、これらのデータについて人工知能(AI)等も活用しながら処理・分析を行うことで、現状把握や、将来予測、ひいては様々な価値創出や課題解決を行うことが可能となる。そしてその次のフェーズでは、人が通信の主役ではなくなり、機械間通信(M2M)が中心となる。そこでは様々な用途に応用しうる基幹的な汎用技術(GPT:General Purpose Technology)であるICTの役割が一層重要になるだろう。これら一連の変化が第4次産業革命であり、今後、これらの技術革新を通じて我が国産業の在り方を変革していくことによって(Connected Industries)1、様々な社会課題を解決するSociety 5.0を世界に先駆けて実現することが期待される。

本章では、第4次産業革命によってもたらされる変革の可能性等を概観した上で、産業構造等に与える変化、また今後我が国が「第4次産業革命」を実現するための道筋を産業や人材を中心として、国内外の企業関係者を対象に実施したアンケート調査等の結果に基づいて整理し、向かうべき方向性や重点的に取り組むべき課題について示唆するとともに、第4次産業革命時代を展望する。また、第4次産業革命を実現させ変革の成果を享受するには、過去の産業革命の教訓に学ぶとともに、定量的な指標等を基に関係者が方向性を共有することが有益と考えられる。こうした観点から、産業連関表による分析等を基に、過去の「産業の情報化」等について検証するとともに、第4次産業革命による変革が実現する場合の経済的インパクトについてもとりあげる。

図表3-1-1-1 本章のスコープ


1 未来投資戦略2017では、「我が国は、製造業を超えて、モノとモノ、ヒトと機械・システム、ヒトと技術、異なる産業に属する企業と企業、世代を超えた人と人、製造者と消費者など、様々なものをつなげるConnected Industriesを実現していかなければならない。」とされている。

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