総務省トップ > 政策 > 白書 > 29年版 > Lアラート等の間接広報の入力状況
第1部 特集 データ主導経済と社会変革
第3節 熊本地震と新たな災害情報等の共有の在り方

(2)Lアラート等の間接広報の入力状況

Lアラートによる情報発信は、避難指示(緊急)、避難勧告に係る情報と生活情報や行政情報などを含むお知らせに大別される。Lアラート熊本地震に関する熊本県内のLアラートの発信件数の推移をみると、4月中は熊本県内の自治体から避難指示(緊急)3、避難勧告が多数発信されているのに対し、5月以降に発信されたお知らせ情報については、益城町からの情報発信に留まっている(図表5-3-1-2)。

図表5-3-1-2 Lアラートによる情報発信量の推移
(出典)総務省「熊本地震におけるICT利活用状況に関する調査」(平成28年)
「図表5-3-1-2 Lアラートによる情報発信量の推移」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

このような背景には、情報発信主体である自治体からはLアラートへの情報入力の手間が挙げられている(図表5-3-1-3)。インタビュー調査によると、住民の日常的な情報収集手段であるメディアを介した情報発信が有効であると認識している自治体は多いものの、Lアラートの入力書式が防災メールなどの入力書式と異なり、同一の情報を複数の表現で入力することの煩雑さや電話問い合わせが殺到し、入力する人員が割けないなどの課題が挙げられている。一方、情報伝達者からは、情報入力を行っている自治体と行っていない自治体があり、一律に最新の情報を確認するために、Lアラート以外の情報収集手段を活用したと回答しており、入力率の向上と情報量の増加が求められている。

図表5-3-1-3 情報発信者と情報伝達者による課題
(出典)総務省「熊本地震におけるICT利活用状況に関する調査」(平成28年)

入力率を向上させ、情報流通量を増加させる方策として、ハード面、ソフト面の双方の取組に対する意見が挙げられた。ハード面の取組としては、自治体がすでに保有している防災メールやSNS等への情報発信形式とLアラートの入力形式を統一し、一括入力が可能になれば、より利便性が向上するという意見があった。また、現在複数のインターフェースに入力が必要になっている情報の標準化やデータフォーマットの統一化を図ることにより、災害時の入力コストを軽減することができるようになる。一方、ソフト面の取組としては、情報発信専門の担当者を確保することへのニーズが挙げられた。発災時において、自治体では避難所運営などに人員を割かれ、災害対策本部や庁内に十分な人員を確保することが難しい。そのため、熊本地震において、益城町で行われた取組同様、外部からの人員派遣なども含め、Lアラートの入力専門の人員を確保するための検討が求められている。



3 熊本地震発生当時(2016年4月)の区分は「避難指示」であったが、ここでは現状に合わせ2016年12月より用いられている「避難指示(緊急)」に変更している。

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