情報化の進展をとらえる基本概念として、篠﨑(2014)等にならい「産業の情報化」「情報の産業化」1を基に考察を進める。
「産業の情報化」とは、様々な産業の生産活動の中で情報に関連した労働や中間投入が増加していく側面をとらえた概念である。別の見方をすると、情報産業に限らずあらゆる産業において、原料や素材などの単なる物的な投入による生産活動だけでなく、デザインや色や広告など非物的な情報活動の比重が高まることとも言える。
「情報の産業化」とは、産業の情報化に伴い情報関連のサービス活動が独立した産業を形成して発展していく側面をとらえた概念である。別の見方をすると、産業の情報化の傾向でデザインや広告など情報関連の活動が多くの企業や産業で盛んになるにつれてこうした活動を専門に引き受ける新しい企業が生まれ、経済全体の中での比重を高めていくこととも言える。
1 詳細は、篠﨑彰彦著『インフォメーション・エコノミー』(NTT出版、2014年)、篠﨑彰彦著『情報技術革新の経済効果』(日本評論社、2003年)参照。