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第1部 特集 データ主導経済と社会変革
第1節 第4次産業革命がもたらす世界的な潮流

(1)我が国の取組

我が国では2016年6月に閣議決定された「日本再興戦略2016」、「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針)、「ニッポン一億総活躍プラン」などにおいて、「第4次産業革命」が成長戦略の中核として着目された。第4次産業革命に関連する分野を伸ばすことで、約30兆〜40兆円の付加価値を作り出すとしている。より具体的な構想としては、①狩猟社会、②農耕社会、③工業社会、④情報社会に続く、人類史上5番目の新しい社会、いわば「Society 5.0」(超スマート社会)を、世界に先駆けて実現していくこと目指している。すなわち企業サイドの第4次産業革命と個人のライフスタイル変革によって、生産・流通・販売、交通、健康医療、金融、公共サービスなど、あらゆる場面で快適で豊かに生活できる社会の実現である。「Society 5.0」は、「課題解決」から「未来創造」までを幅広く視野に入れた上で、革新技術の開発と多様なデータの利活用によって政府、産業、社会のデジタル化を進めるものであり、ドイツが進める「インダストリー4.0」の概念も包含しているものといえる。

2017年6月に閣議決定された新たな成長戦略である「未来投資戦略2017」の基本的考え方においても、引き続き、我が国の長期停滞を打破し、中長期的な成長を実現していく鍵はSociety 5.0の実現にあり、そのために第4次産業革命(IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボット、シェアリングエコノミー等)のイノベーションを、あらゆる産業や社会生活に取り入れる必要があるとしている4

政府においては、官民連携等により「Society 5.0」実現に向け積極的に推進することが求められる5

具体的な例としては、民間主導である「IoT推進コンソーシアム」(第2章参照)では、2016年10月3日、米国のIoT関連の団体であるインダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)、オープンフォグ・コンソーシアムとの間でIoT分野の協力に向けた覚書(MoU)を締結している。MoUに則り、グッドプラクティスの発掘・共有や、テストベッドや研究プロジェクトの協力、アーキテクチャ等の相互運用性の確保、標準化に関する協力等の取組が進められている。また、2017年2月にはインド全国ソフトウェアサービス企業協会(NASSCOM)と、2017年3月に欧州のIoTイノベーション・アライアンス(AIOTI)とそれぞれMoUを締結した。

図表3-1-1-4 IoT推進コンソーシアムと国際連携


4 「未来投資戦略2017」では、今後の取組の視点として、ドイツの「インダストリー4.0」や米国の「Industrial Internet」が主として製造業の生産管理や在庫管理をIoTによって個別の向上や最適化する試みであるのに対し、我が国は、製造業を超えて、モノとモノ、人と機械・システム、人と技術、異なる産業に属する企業と企業、世代を超えた人と人、製造者と消費者など、様々なものをつなげるConneced Industriesを実現していかなければならないとしている。
Connected Industriesの詳細については、2017年版ものづくり白書http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2017/別ウィンドウで開きます等参照。

5 この他、「未来投資戦略2017」の基本的考え方の中では、「第4次産業革命の進展により価値の源泉が「ヒト(人材)」・「データ」に移るSociety 5.0の経済システムでは、離れて「自立分散」する多様なもの同士を、新たな技術革新を通じてつなげ「統合」することが大きな付加価値を産む。「知恵」が価値を生み、多様な「個」がいかされる社会が到来する中、あらゆる世代の意欲ある人々が技術革新を味方につけ、眠っている様々な知恵・情報・技術・人材を「つなげ」、イノベーションと社会課題の解決をもたらす仕組みを世界に先駆けて構築できれば、経済活動の最適化・高付加価値化と活力ある経済社会を実現できる。それは、老若男女、大企業と中小企業、都市と地方を問わず、あらゆる人々や産業にチャンスを与えるものである。」としている。

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