総務省トップ > 政策 > 白書 > 29年版 > データ流通・利活用の価値の増大
第1部 特集 データ主導経済と社会変革
第1節 広がるデータ流通・利活用

(4)データ流通・利活用の価値の増大

最後に、データ流通・利活用を推進するメリットや意義を確認する。この点については世界中の関心が高まっており、いわゆる「インターネット経済(Internet Economy)」の新たなステージとしての「デジタル経済(Digital Economy)」の観点から言及されることが多い。すなわち、デジタルのデータは非競合、複製の限界費用がゼロに近いことから、減耗・枯渇がないという特色があるため、データの蓄積とその利活用が競争力の源泉となり、経済貢献にも寄与するというものである。2016年9月に開催されたG20杭州サミットにおいても、「デジタル経済」が成長の鍵となるという理解のもと、デジタル経済を発展させるための原則として、①イノベーション、②協力、③シナジー、④柔軟性、⑤包摂性、⑥オープンなビジネス環境、⑦経済成長、信頼と安全のための情報の流通4、⑧重要な価値の共有、について言及がなされた。

これまでも様々なデータの共有・利活用が社会発展の基礎となってきた。しかしながら、膨大なデータが集積されてそれを分析することや他者が保有している他のデータと掛け合わせて利活用されることで、さらに前述のとおり、AIなど低コストで高速な計算処理が可能な環境が整いつつあることから、産業競争力強化に資する新サービスが創出されることが期待され、データは企業の経営や研究開発の資源として従来よりも大きな価値を持つようになってきており、我が国の産業力の原点になるとの言及もなされてきたところである。またマクロ経済の供給面からはデータ流通により生産性を高め、潜在的な経済成長率の向上を図るといった見方がなされている。需要面からみると、新たな商品やサービスの創造(プロセス・プロダクト・組織・マーケティングのイノベーション等)を通じて持続的な需要創出を実現することが期待されている。

図表2-1-2-6 データ流通・利活用による社会経済へのインパクトに関する研究事例
(出典)総務省「安心・安全なデータ流通・利活用に関する調査研究」(平成29年)


4 G20首脳会合におけるタスクフォース付属文書では、「G20は情報、思考、知識の自由な流通がデジタル経済に不可欠であり、発展に資することを認識」と記載されている。

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