ここでは、20代を中心に、ミレニアル世代6の情報行動の特徴を、情報通信端末の利用時間、利用内容などからみていく。
ミレニアル世代は、スマートフォンの利用時間は長いものの、パソコンの利用時間は短くなっている。
2012年と2016年とを比較すると、10代はパソコンの利用時間が32分から15分へと顕著に減少している。20代も2016年には自宅でのパソコンの利用は減少している。
利用する端末に関し、上述の各種指標から読み取れる傾向を若年層向けグループインタビュー結果から確認すると、スマートフォンの利用が主である傾向があった。学生で学校の課題作成等が必要な者は自分専用のノートパソコンも持ち歩いていたが、スマートフォンでほとんどの目的を済ますことができるとの理由から自分用のパソコンは持っていない者もいた。
自宅での利用に着目すると、料理をしながらスマホを見たり、スマホと他の端末とを並行して利用したりとマルチタスク、マルチウインドウの利用傾向があった。また、画面の大きさなどの理由で動画視聴や作業ではパソコンやタブレットを利用するとの意見もあった。外出先では主にスマホを持ち出し、空き時間にスマートフォンを利用している傾向があった。
定量的な指標からもグループインタビューの結果からも、若年層、特に就業前の者はスマートフォンの利用が多くパソコンの利用が少ない傾向がみられた。スマートフォンには様々な機能があり、関連サービスまで含めれば多くの可能性がある一方で、制約もないわけではない。
例えば、ストレージの容量、電池、画面の大きさなどのハード面のほか、文章作成や表計算などの作業などであり、場面によってはスマートフォンよりもパソコンの方が適している用途もある。若者のパソコン離れが進みすぎると将来就業時に必要なスキルが不足する懸念も考えられる。
前述のとおり、10代20代はスマートフォンの利用時間が長く、内訳をみるとSNSの利用時間が長い傾向がある。また、他の世代と比較すると「動画投稿・共有サイトを見る」の時間が相対的に長いことも目立つ。この傾向は休日になるとより顕著になり、SNSを10代は122分、20代は76分、動画投稿・共有サイトを10代は55分、20代は28分利用している。
SNSや動画などの特徴的な利用傾向をグループインタビュー結果からみる。
1つ目には、利用目的やつながる相手に応じ、SNSを使い分けていることが挙げられる。2つ目には、SNSを情報検索にも活用していることが挙げられる。検索サイトと併用する傾向もみられるが、SNSを人の意見、流行やリアルタイムの状況を把握することに活用しているとの意見もあった。
ここまでで若年層はSNSを積極的に利用し、ネット上でつながったり情報を共有したりしていることを取り上げた。
続いてリアル空間における共有(シェア)について取り上げる。
フリマアプリの利用率を年代別にみると、20代の利用率が他の年代よりも高くなっている。
また、リアル空間における共有の寛容さとして、「自分のものを他人に提供したり、他人のものを間借りすることに抵抗はない」「自分が使うものは自分で専有したい」のどちらに近いかを尋ね、前者に近い、どちらかといえば前者に近いの回答を年代別に集計したところ、若い年代ほど高い傾向がみられた。若年層は、リアル空間においてもシェアリングへの抵抗感が低い可能性がある。
「シェア」に関する傾向をグループインタビュー結果からみる。
今回のインタビュー対象者でもシェアサービスの経験者の割合は高かった。人の物を利用することに抵抗感は少ないとの意見が目立ったが、他方で民泊サービスやシェアハウスなど住環境に関わるもの、メイク道具など直接肌に触れるもののシェアへの懸念もみられた。
6 ここでは20代を「ミレニアル」とし、比較のために一部10代や他の年代の値を掲載している。