総務省トップ > 政策 > 白書 > 29年版 > 越境データ流通促進による経済価値
第1部 特集 データ主導経済と社会変革
第3節 広がる国際的な議論

(4)越境データ流通促進による経済価値

前述の通り、我が国も含め、国間の相互の円滑なデータ移転を実現し、データの流通・利活用環境を整備すべく対話の場が設けられ、議論が進められている状況である。一方で、こうしたデータの自由な流通が、各国に、また関係各国全体にもたらす経済的なインパクトをどのように捉え、我が国含め各国が国益に資するようどのように対話に臨めば良いであろうか。従来の越境取引の対象であるモノやカネについては、国際的には貿易の枠組みが構築され、かつその流通量や取引の額は定量的に把握することが可能であるが、データ流通の経済については定量化が極めて困難である。そのため、データの自由な流通による経済価値を定量化・可視化すべく、民間の調査機関等においてデータ流通に着目した経済モデルの研究が進められているが、現時点では発展段階である(図表2-3-2-4)。

図表2-3-2-4 越境データ移転・データの流通促進の経済的影響に関する先行研究事例
(出典)総務省「安心・安全なデータ流通・利活用に関する調査研究」(平成29年)

上述の先行研究等も参考に、今後、世界各国が共有できるデータ流通の経済価値に関する分析・評価のフレームワークの早期の開発と運用が望まれる。こうした問題意識等を背景に、2017年3月にドイツ・ハノーバーで実施されたCeBIT 2017において、日本とドイツによる共同プレスステートメントが発表され、その中でデータ・エコノミーに焦点を当てた専門家会合の開催の呼びかけや経済効果測定手法、分析ツールの開発等の重要性が示されている。我が国としても、国内外のデータ流通・利活用に係る環境構築、ならびに国際的な議論の進展に向け、積極的に貢献していくことが望まれる。

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