総務省トップ > 政策 > 白書 > 29年版 > データローカライゼーションに対する企業の対応
第1部 特集 データ主導経済と社会変革
第3節 広がる国際的な議論

(3)データローカライゼーションに対する企業の対応

データローカライゼーションは、導入している国における目的や理由が背景にあるものの、新たな規制の導入は、企業のグローバルな事業活動に大きな影響を与える。また、自由なデータ流通・利活用に伴うビジネスやイノベーションの進展等を阻害するといった点も指摘されている。EUのGDPRをはじめ、こうしたデータローカライゼーションの動きに対して、企業側の認識の向上と今後の対応が求められているところである。

企業向け国際アンケートにおいて、各社ビジネスへの影響の観点からデータローカライゼ―ションに対する認識を聞いたところ、日本企業を含め各国とも半数以上が「不安視している」と回答している(図表2-3-1-6)。特に、EU等のようなデータローカライゼーションの規制措置はない米国の企業においては半数弱が「非常に不安視している」と回答しており、ビジネスの継続性等の観点から、当該動向に対する関心が極めて高まっていることを顕著に表している。英・独企業においては、先行するGDPRがEU域内の枠組であることも含め、「楽観的に考えている」企業が20%弱存在する。

図表2-3-1-6 データローカライゼーションに対する企業の認識
(出典)総務省「安心・安全なデータ流通・利活用に関する調査研究」(平成29年)
「図表2-3-1-6 データローカライゼーションに対する企業の認識」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

また、同アンケートによれば、我が国企業の間でGDPRを「規制内容を含めて知っている」と回答している割合は、一般企業で5%未満、ITAC企業で10%弱にとどまる。一方「知らない、わからない」という回答は両者ともに50%を上回り、未だGDPRの認知度は全般的に低い状況である(図表2-3-1-7)。

図表2-3-1-7 GDPRに関する企業の認知度
(出典)総務省「安心・安全なデータ流通・利活用に関する調査研究」(平成29年)
「図表2-3-1-7 GDPRに関する企業の認知度」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

とりわけGDPRの適用が及ぶ企業にあっては認知度が向上することが望ましい。前述のとおり、2018年5月に向け、今後は当該企業によるGDPRへの対応が迫られる。我が国企業においては、2016年12月に、EC事業等で欧州地域を含むグローバル展開を図ってきた楽天株式会社が、欧州拠点があるルクセンブルクのデータ保護機関から日本企業として初めて「拘束的企業準則(BCR)」の承認を受けたと発表しており、同様の対応をとる企業が続くことが予想される。

国内企業向けアンケート調査によれば、GDPRを認知している回答者の7.6%が既にGDPRに対応済と回答しており、69.5%が現在検討または検討予定としている(図表2-3-1-8)。これらの回答者のうち、具体的な対応内容については、「データの越境移転を図りたい事業者と契約を締結する」と回答したのが44.0%と最も多く、BCRを志向している傾向が高い(図表2-3-1-9)。

図表2-3-1-8 企業のGDPRへの対応・検討状況
(出典)総務省「安心・安全なデータ流通・利活用に関する調査研究」(平成29年)
「図表2-3-1-8 企業のGDPRへの対応・検討状況」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら
図表2-3-1-9 企業のGDPRへの対応内容
(出典)総務省「安心・安全なデータ流通・利活用に関する調査研究」(平成29年)
「図表2-3-1-9 企業のGDPRへの対応内容」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら
テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る