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第1部 特集 データ主導経済と社会変革
第3節 広がる国際的な議論

2 国際的な議論の動向

国境を越えるデータ流通の現状等を背景に、OECD、APEC等において、個人情報の保護に関する情報交換や越境執行協力等を目的とした国際的な枠組みが構築されてきている。また、個人情報保護委員会の設置により、国際的な執行協力の枠組みである『グローバルプライバシー執行ネットワーク(GPEN:Global Privacy Enforcement)3』、『アジア太平洋プライバシー機関フォーラム(APPA:Asia Pacific Privacy Authorities)4においては、個人情報保護委員会が正式メンバーとして認められたところである。このように、個人情報の保護に関しては我が国として国際的な議論との整合を取っていくことが不可欠であり、日EU間/日米間の二国間、また多国間での協議や対話を続け、国際的な取組を一層推進することが肝要である。

我が国では、前節で言及した制度等の環境整備の一環として、国際的な取組についても着実に進められている。2016年7月29日には、個人情報保護委員会において、以下の方針が決定されている。

「個人データの円滑な国際的流通の確保のための取組について」(2016年7月29日個人情報保護委員会決定)[抄]

個人情報保護委員会において、個人情報の保護を図りつつ、その円滑な越境移転を図るため諸外国との協調を進めることとし、当面、これまでに一定の対話を行ってきている米国、EU(英国のEU離脱についてその動向を注視)については、相互の円滑なデータ移転を図る枠組の構築を視野に定期会合を立ち上げる方向で調整する。

次いで、個人情報保護に関する法律第7条の規定に基づき、『個人情報の保護に関する基本方針』(2016年10月28日閣議決定。以下、「基本方針」)では、以下のとおり定められている。

個人情報の保護に関する基本方針[抄](2016年10月28日閣議決定)

1 個人情報の保護に関する施策の推進に関する基本的な方向

(3)国際的な協調

経済・社会活動のグローバル化及び情報通信技術の進展に伴い、個人情報を含むデータの国境を越えた流通が増えており、このような状況の変化に対応するため、経済協力開発機構(OECD)、アジア太平洋経済協力(APEC)等において、個人情報の保護に関する情報交換や越境執行協力等を目的とした国際的な枠組が構築されている。

このような取組を踏まえ、国際的な協調を図っていくとともに、併せて我が国の法制度についても国際的な理解を求めていくことが重要である。

2 国が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する事項

(4)個人情報の保護及び円滑な流通を確保するための国際的な取組1の(3)の国際的な協調の観点から、個人情報保護委員会において、個人情報の保護を図りつつ、国際的なデータ流通が円滑に行われるための環境を整備するため、国際的な協力の枠組への参加、各国執行当局との協力関係の構築等に積極的に取り組むものとする。

このように、経済社会活動のグローバル化を踏まえ、我が国と諸外国との相互の円滑なデータ移転を図ることが重要であることから、ここからは二国間での対話、また多国間での対話状況についてそれぞれ概観する。



3 OECD勧告に基づいて設立され、データ保護機関間による個人情報の保護に関する執行の協力に関する情報交換を行う枠組

4 アジア太平洋地域のデータ保護機関による情報交換を目的として開催される会議

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