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第1部 特集 データ主導経済と社会変革
第3節 IoT化する情報通信産業

1 爆発的に増加するIoTデバイス

第4次産業革命の到来を象徴するともいえるIoTデバイス数の推移及び今後の予測についてみてみる。インターネット技術や各種センサー・テクノロジーの進化等を背景に、パソコンやスマートフォンなど従来のインターネット接続端末に加え、家電や自動車、ビルや工場など、世界中の様々なモノがインターネットへつながり、その数は爆発的に増加している。IHS Technologyの推定によれば、2016年時点でインターネットにつながるモノ(IoTデバイス1)の数は173億個であり、2015年時点の154億個から12.8%の増加と堅調に拡大している。2016年を起点に2021年までに年平均成長率(CAGR)15.0%とさらに成長率が加速し、2020年は約300億と現状の数量の2倍に規模が拡大する見通しである(図表3-3-1-1)。

図表3-3-1-1 世界のIoTデバイス数の推移及び予測2
(出典)IHS Technology

IoTデバイスの規模と成長性を分野・産業別にみてみると、IoTデバイスの中で大きな比率を占めるスマートフォンやPCの市場が普及率の拡大から成熟に向かう一方で、コネクテッドカー(通信機能の搭載された自動車)や、通信機能の搭載された工場オートメーション(FA)機器などの、産業機器におけるIoT化は着実に進んでいる。このように、これまで通信機能を備えていなかった機器に通信機能や情報を取得・処理するセンサーやプロセッサーが搭載されることで、人的な作業に依存していた分野でICTの活用により、新たな付加価値が提供されることになる。ウエラブル機器を使った健康管理や、人の目による管理や作業が困難な場所でのセンサーを使った保守・管理など、多様な用途が考えられている。まず先行する「コンシューマ」や「通信」は数が50億以上と大きく、かつ今後も年率10%前後の成長が見込まれる。特に「コンシューマ」は世界の人口約70億人の規模に近づきつつある。他方、従来のIoTである「コンピューター」は約20億規模をピークに減少していくと予想される。次にIoTの成長の牽引役の一つとして「産業用途」は、いわゆるM2Mの普及に伴い大きく成長し、デバイス数は既に30億個に達しており、今後も引き続き拡大する用途の一つである。同様に「自動車」や「医療」は、規模については現時点では小さいが今後特に増加が見込まれる(図表3-3-1-2)。

図表3-3-1-2 分野・産業別のIoTデバイス数及び成長率
(出典)IHS Technology


1 IHS Technologyの定義では、IoTデバイスとは、固有のIPアドレスを持ち、インターネットに接続が可能な機器を指す。センサーネットワークの末端として使われる端末から、コンピューティング機能を持つものまで、エレクトロニクス機器を広範囲にカバーするものである。

2 各カテゴリの範囲は以下のとおりである。
「軍事・宇宙・航空」:軍事・宇宙・航空向け機器(例:航空機コックピット向け電装・計装機器、旅客システム用機器、軍用監視システムなど)。
「自動車」:自動車のUnder the food(制御系)およびInfortainment (情報系)において、インターネットと接続が可能な機器。
「通信」:固定通信インフラ・ネットワーク機器、2G、3G、4G各種バンドのセルラー通信およびWifi・WIMAXなどの無線通信インフラおよび端末。
「コンピュータ」:ノートPC、デスクトップPC、サーバ、ワークステーション、メインフレーム・スパコンなどコンピューティング機器。
「コンシューマ」:家電(白物・デジタル)、プリンターなどのPC周辺機器、ポータブルオーディオ、スマートトイ、スポーツ・フィットネス、その他を含む。
「医療・産業用途」:画像診断装置ほか医療向け機器、コンシューマヘルスケア機器、オートメーション(IA/BA)、照明、エネルギー関連、セキュリティ、検査・計測機器などオートメーション以外の工業・産業用途の機器。
「軍事・宇宙・航空」:軍事・宇宙・航空向け機器、例:航空機コックピット向け電装・計装機器、旅客システム用機器、軍用監視システム等。

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