総務省トップ > 政策 > 白書 > 29年版 > 被災地域における情報伝達とICT(平成24年(2012年)版情報通信白書より)
第1部 特集 データ主導経済と社会変革
第1節 災害時のICT利用

(1)被災地域における情報伝達とICT(平成24年(2012年)版情報通信白書より)

ア 多様な情報伝達手段を用いた迅速・確実な情報提供

東日本大震災の際の被災地における情報収集手段について、当時実施されたインタビュー調査の分析結果によると、発災直後や津波情報の収集においては、ラジオやテレビ、防災無線といった即時性の高い一斉同報型ツールの利用率が高く、特にラジオとテレビの有用性が高くなっていた(図表5-1-1-1)。一方、発災直後の情報収集手段とその評価について着目すると、ラジオが最も役立った手段であったという評価はラジオの利用率の半分程度にとどまっている。また、携帯電話については、低い評価コメントが寄せられており、発災直後において一番利用率の高かったラジオでも4割強の有用性にとどまるなど、即時性の高い情報を伝達するために複数の伝達経路を活用して情報伝達を行うことの必要性が示唆される結果となっていた。

図表5-1-1-1 東日本大震災における情報収集手段の変化
(出典)総務省「平成24年(2012年)版情報通信白書」
「図表5-1-1-1 東日本大震災における情報収集手段の変化」のExcel(1)はこちらEXCEL / Excel(2)はこちらEXCEL / CSV(1)はこちら / CSV(2)はこちら
イ 災害時における携帯電話の重要性

また、東日本大震災においては、発災が平日の昼間であったことや、大規模な津波が発生し迅速な避難が求められたことから、必ずしも多くの人がテレビ等を視聴できる環境にいたわけではない。そのような状況下において、避難した際に身近に持っていた情報端末として、回答者の95.1%が携帯電話を挙げていた(図表5-1-1-2)。しかし、発災以降携帯電話はネットワークの輻輳と基地局等の物理的な損壊や予備電源の燃料切れなどで長時間使用不能となり、安否確認が取れないまま被災者が孤立状態になってしまったことが課題として挙げられている。一方、携帯電話は身近に持っていた情報端末として評価されており、音声通話、電子メール、ショートメッセージ、ワンセグ等の多様な機能が搭載されている特性からも「ライフラインの一つとしての携帯電話の重要性」が認識されている。このような評価に基づき、携帯電話については、どのような状態でも緊急時の情報が伝達できるような機能面での重層性や、電源確保の重要性が指摘された。

図表5-1-1-2 身近に持っていた情報端末と携帯電話の重要性
(出典)総務省「平成24年(2012年)版情報通信白書」
「図表5-1-1-2 身近に持っていた情報端末と携帯電話の重要性」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら
ウ 避難時等におけるICT環境の確保

さらに東日本大震災における特徴として、津波による被害が広範に及び、地域によっては壊滅的な被害を受けたことから多くの人が長期にわたり避難生活を送ることを余儀なくされたことがある。避難生活におけるICTニーズは、前述のとおりライフラインとして認識されている携帯電話が52.6%1と最も高く、次いでテレビやラジオへのニーズが高い傾向になっていた。このように、避難所や仮設住宅においてもICT環境に対するニーズは高く、被災者が情報収集し、自ら必要な情報を選択できる環境をつくることが求められている。



1 2012年版情報通信白書(p267、http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/html/nc131140.html別ウィンドウで開きます)図表3-1-1-15を参照

テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る