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第1部 特集 データ主導経済と社会変革
第3節 オンラインプラットフォームとデータ利活用

1 オンラインプラットフォームの二面性

(1)オンラインプラットフォームの意義

第1節第2節では、スマートフォン上に、SNS、FinTech、シェアリングエコノミーなどの多様なサービスが登場し利用が広がっていることを取り上げた。こうしたことが実現した要因の1つとして、プラットフォームの存在が挙げられる。

プラットフォームという言葉は、様々な意味で使われるが、ここでは2つの観点からプラットフォームの意義を考察する。

プラットフォームの第一の意義として、多様なアプリケーションひいては多様なサービスが生まれやすくなることがある1。ここでは、情報通信の関連の財・サービスを端末、通信ネットワーク、プラットフォーム、アプリケーションに分け、通信ネットワークとアプリケーションとの間をつなぐ共通的な規格をプラットフォームとしている。1事業者がアプリケーションから通信ネットワーク、端末まで提供するには多くの投資や開発が必要となるが、プラットフォームが存在する場合には、プラットフォームとの接続性を確保さえすれば、アプリケーションを提供するのみでよく、垂直統合の場合と比較して参入のハードルが下がるとともに、多くの利用者が見込めることとなる(図表1-3-1-1)。

図表1-3-1-1 垂直統合と分離(PFあり)との比較
(出典)総務省「スマートフォン経済の現在と将来に関する調査研究」(平成29年)

プラットフォームの第二の意義として、スマートフォンやその関連サービスが財・サービスの提供者と利用者とをつなぐ役割を果たし、両者のマッチングを促進しているということがある。これらの取引形態を、財・サービスの提供者か利用者か、企業か消費者か、さらに財・サービスの流れ、金銭の流れや情報の流れも踏まえて分類すると、企業対企業(B to B)、企業対企業対消費者(B to B to C)、企業対消費者(B to C)、消費者対消費者(C to C)の4類型に分けられる(図表1-3-1-2)。

図表1-3-1-2 取引形態の4類型
(出典)総務省「スマートフォン経済の現在と将来に関する調査研究」(平成29年)

4類型の中では、将来への影響の大きさからB to B to C、とりわけ、両面市場(two sided market)と呼ばれているものへの注視が必要と考えられる。両面市場とは、2組の経済主体が仲介者やプラットフォームを通じて相互に作用する市場である。こうした両面市場の仲介者の具体例として、広告による無料放送、インターネットにおける情報検索サービス、SNSなどが挙げられる。近年になって競争政策において注目されているのは、利用者数が多いほど各利用者の満足度が高くなるというネットワーク効果が強く働き、初期にわずかな差で競争上優位になった者がその後圧倒的な市場規模や市場シェアを獲得しているためである(図表1-3-1-3図表1-3-1-4図表1-3-1-5)。

図表1-3-1-3 オンラインプラットフォームを有する代表的な事業者の売上等の推移
(出典)総務省「スマートフォン経済の現在と将来に関する調査研究」(平成29年)
「図表1-3-1-3 オンラインプラットフォームを有する代表的な事業者の売上等の推移」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら
図表1-3-1-4 世界のスマートフォンのOS別のシェア2
(出典)IHS Technology
図表1-3-1-5 世界のスマートフォンOS別インストールベース台数の市場集中度(HHI3)推移
(出典)IHS Technology資料を基に作成

また、これらのサービスは広告を通じて供給と需要とをマッチングする役割も担っている。デジタル化やデータ流通の増加によって供給と需要とのマッチングの精度が増すことから、データ流通の増加は両面市場におけるネットワーク効果をさらに強めていると考えられる。



1 2017年5月10日に欧州委員会が公表した文書ec.europa.eu/newsroom/document.cfm?doc_id=44527PDFにおいても、オンラインプラットフォームはデジタル経済におけるイノベーションと成長を促進すること、とりわけ中小企業にとって機会を創出する旨言及している。

2 2010年のSymbianのシェアはLinuxのシェアとの合計

3 HHI(ハーフィンダル・ハーシュマン・インデックス)とは、ある産業の市場の競争状況を示す指標で、各事業者のシェアの二乗和。

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