総務省トップ > 政策 > 白書 > 29年版 > データ流通・促進に係る具体的事例・先行事例
第1部 特集 データ主導経済と社会変革
第1節 広がるデータ流通・利活用

(2)データ流通・促進に係る具体的事例・先行事例

ここでは、データ流通・促進に係る具体的な事例についてみてみる。前述の現状のデータ流通・利活用のモデルについて、データ種別や分野別をみてみると、それぞれデータを収集・分析・処理等を通じて、付加価値をつけてサービスを提供する、または他の企業が同様のサービスを提供できる環境を構築しているといえる(図表2-1-3-3)。

図表2-1-3-3 主なデータ利活用事例
(出典)総務省「安心・安全なデータ流通・利活用に関する調査研究」(平成29年)

次に、近年注目を浴びている新たなデータ流通モデルとして「パーソナルデータストア型」及び「データマーケットプレイス型」について事例から動向を説明する。

ア パーソナルデータストア型

本モデルを踏まえたサービス提供は、我が国では構想又は実証段階であるが、欧米では実用化も進みつつある。例えば、米国の「Datacoup」やイギリスの「Datarepublic」などが挙げられる。

「Datacoup」では、消費者がDatacoupのサイト上で提供してもよいデータ(SNSデータ、クレジットカード履歴等)を選択し、当該データの保有企業とアカウント連携することができる。Datacoup側は、これらデータを他者のデータと混ぜて匿名化してマーケターに販売し、消費者が報酬を受け取る仕組みとなっている。

「Datarepublic」では、消費者が売買したい自身のデータ(クレジットカード履歴、購買履歴、バイタルデータ、位置情報、アンケート、服薬状況等)を指定し、当該データについて匿名化の有無、利用期間等も指定でき、報酬を含めて条件が折り合った場合にのみデータが提供される仕組みを提供している。

イ データマーケットプレイス型

本モデルも欧米諸国で先行的にサービス化が進んでいる。例えば米国の「Factual」は、主に位置情報のデータセットを提供するマーケットプレイスである。飲食店一覧や、飲食店チェーンの店舗一覧など、世界各国の6,000万の地域情報や65万の製品情報等のデータを提供し、地図アプリ、チェックイン系アプリのベンダーなどが活用しているとされる。

日本では、エブリセンスジャパンがIoT機器等を通じて取得したデータをデータ利用者に対して販売することができる「IoTデータ流通マーケットプレイス」を2016年10月に商用化した。IoTデータ流通マーケットプレイスは、提供されているデータとそのデータを利用して事業開発や新サービス等を提供したい企業・研究機関が求める希望情報をマッチングし、データの売買を仲介するプラットフォームである(図表2-1-3-4)。当該サービスは、プラットフォームを運営するエブリセンスジャパン自体はデータを保有せず、データ売買の仲介のみを行う特徴を有している。また、サービス提供にあたって、提供されるデータの利用範囲や利用条件、精度、頻度などは、データ提供者が自由に設定し、コントロールすることを可能としている。

図表2-1-3-4 IoTデータ流通マーケットプレイス概要
(出典)高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 データ流通環境整備検討会 AI、IoT時代におけるデータ活用ワーキンググループ
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