総務省トップ > 政策 > 白書 > 29年版 > 消費者の不安の要因分析
第1部 特集 データ主導経済と社会変革
第2節 データ流通・利活用における課題

(1)消費者の不安の要因分析

前項では、とりわけ我が国国民においては、個人情報やパーソナルデータの提供に対する「不安」が大きく、また当該情報を収集・利用する企業の利用目的等に対する理解度等が低いことなどが明らかになった。では、こうした「不安」や認識等の対象や理由はどういうものだろうか。アンケート調査結果を踏まえ、さらに定性調査を行うことで深堀した11図表2-2-5-1)。

図表2-2-5-1 個人情報を利用したサービスに対する認識(テキスト分析結果)
(出典)総務省「安心・安全なデータ流通・利活用に関する調査研究」(平成29年)

「インターネットサービスの利用にあたって企業が個人情報を活用することをどう思うか」という質問に対するコメントを収集・分析したところ、多くのキーワードと関連性が見られた(図表2-2-5-1)。「不安」というキーワードと関連して目立ったのが、“漏洩”、“流出”、“心配”といった表現であり、全般的に情報漏えい等のインシデントに対する不安が大きいことが分かる。こうしたネガティブな表現を含むコメントをみてみると、インシデントに対する不安の他、“悪用されると怖い”といった声もみられる。また、共通項として「企業のセキュリティー管理を徹底しほしい」という声が大きく、中には「一定期間で削除してほしい」「拒否権がほしい」といった、削除規定やオプトアウト方式に対するニーズもみられた。

他方、企業の個人情報利用に対してある程度許容している回答者においては、“より便利でよいサービスを受けるため”と、個人情報やパーソナルデータの提供と自身が受けるサービスの便益に基づいて判断している状況が窺える。ただし、これらのコメントには、利用目的等の必要情報の提供や利用者への事前通知・確認、企業側のセキュリティ―確保や情報管理の徹底、等といった前提条件が付記されており、個人と企業の信頼関係があって成立するものであることを示唆している。

また、サービスを利用するためには、個人情報を提供することは、“仕方がない”、“やむを得ない”といったキーワードも目立ち、1438コメント中339コメント(24.6%)にこうした表現が含まれていた。「不安」である一方で、多くの人が、「仕方なく」個人情報を提供しているという認識の下、サービスを利用している実態が浮き彫りとなった。そのため、企業側が、より一層個人に対する説明責任を果たし、サービス向上に取り組んでいくことで、利用者の理解及び認識を高め、互いにWin-Win関係を築いていくことが重要である。



11 「インターネットサービスの利用に際して、企業が個人情報を活用することをどう思うか」という問に対して、インターネットの掲示板調査を行い、一般消費者より1,438個のコメントを収集した。

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