総務省トップ > 政策 > 白書 > 29年版 > 地方創生
第1部 特集 データ主導経済と社会変革
第1節 人口減少社会の到来とその処方箋

(3)地方創生

ア 地域を潤すインバウンド(観光先進国の実現)

日本を訪れる外国人観光客の数は近年大きな伸びを見せている。我が国は独特の文化や四季折々の豊かな自然に恵まれているにも関わらず、海外からの観光客を受け入れる環境は必ずしも整備されてこなかった。人口減少社会を迎えた我が国において、国内外から地域に観光客を呼び込み消費を促す事は、地域経済の活性化を図る上で重要な戦略となり得るだろう。従来の訪日外国人観光客はいわゆるゴールデンルートをはじめとする特定の地域を中心として日本国内を回遊する傾向にあったが、近年それ以外の地域においても外国人観光客が増加傾向にあり、その増加率は三大都市圏よりもむしろ地方圏の方が高い傾向にある(図表4-1-3-5)。訪日外国人受入れに向けた取組は特定の地域のみの課題では無く、日本全体の課題であると言えるだろう。

図表4-1-3-5 地域別の訪日外国人宿泊数増加率(2016年、前年比)
(出典)観光庁「宿泊旅行統計調査」より作成

政府では観光先進国への新たな国づくりに向けて、2016年3月30日に、新たな観光ビジョン「明日の日本を支える観光ビジョン」9を策定した。同ビジョンでは、2020年に訪日外国人旅行者数を4,000万人に、訪日外国人旅行消費額を8兆円とすることを目標とし、「観光先進国」の実現に向けて3つの視点を掲げている。その中の1つとして、「すべての旅行者が、ストレスなく快適に観光を満喫できる環境に」があり、滞在環境として、ストレスフリーな通信・交通利用環境などを実現することが挙げられている。訪日外国人をはじめとする旅行者に向けたWebサイトやSNSを利用した情報発信や無料公衆無線LAN環境の整備等を進めることにより、旅行者の呼び込みによる観光客の増加や利便性の向上が期待される。

イ きらりと光る地方企業(地域経済の好循環)

地域における人口減少は、地域の経済を縮小させる。地域の定住人口を維持し、地域経済の活性化を図るためには働き方改革とも重なる地方企業の雇用創出と生産性向上に加えて、地域の資源を活かした新しいサービスの創出や高付加価値商品の開発等10により地域外からの収入を得ることも必要になる。そのためには地域内外の顧客に向けた情報発信や、データ分析の結果を生かした新商品の開発などの場面にICTが活用されることが期待される。



9 「明日の日本を支える観光ビジョン−世界が訪れたくなる日本へ−」(2016年3月30日公表)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kanko_vision/pdf/honbun.pdfPDF

10 「未来投資戦略2017」(2017年6月9日閣議決定)では、中小企業等やサービス産業等を対象に「中小企業等のデータを用いた新サービス・付加価値創出に向け、専門家の支援を本年度末までに1万社以上に対して行う等により、現場へのIT、IoT、ロボットの活用・導入を促進する」としている。

テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る