総務省トップ > 政策 > 白書 > 27年版 > 携帯電話の普及と高度化
第1部 ICTの進化を振り返る
第1節 通信自由化30年―制度、サービス、市場の変遷

(2)携帯電話の普及と高度化

携帯電話は、1996年から2002年にかけて年間約1,000万契約のペースで増加し、2000年には携帯電話とPHSの契約数が固定電話サービス(加入電話とISDN)の契約数を抜き、音声サービスの主役となった(図表1-1-2-429

図表1-1-2-4 通信サービス加入契約者数の推移
(出典)総務省「電気通信サービス契約数及びシェアに関する四半期データの公表」及び電気通信事業者協会資料により作成
「図表1-1-2-4 通信サービス加入契約者数の推移」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

利用者数の拡大と同時にネットワークの高度化も急速に進められた。2000年には、高速データ通信が可能な高速・高品質のマルチメディア移動通信システムである第3世代移動通信システム(IMT-2000:International Mobile Telecommunications-2000)について、国際電気通信連合(ITU: International Telecommunication Union)において我が国や欧州が提案したW-CDMA方式、米国が提案したcdma2000方式などが無線伝送方式として勧告された。これに基づいて我が国においては、2001年、世界に先駆けて第3世代移動通信システム(以下この節において「3G」という)の本格サービスが開始された(図表1-1-2-5)。3Gの開始は、携帯電話市場でのサービスの多様化による競争を活性化させ、携帯電話におけるNCCの契約数のシェアは、1995年度の51.6%をピークに2001年度には41.0%まで下がっていたが、2004年度末には44.9%まで回復し、さらに競争が進展した30

図表1-1-2-5 携帯電話システム別契約者数の推移
(出典)電気通信事業者協会

携帯電話によるインターネット接続は、電子メールサービスがインターネット経由で利用されていたが、1999年のNTTドコモグループによるiモードの提供から、多彩な携帯電話専用のウェブサイトにアクセスできるサービスが本格化し31、その後ほかの事業者もEZweb/EZアクセス、J-スカイなど同様のサービスを開始し32、これが携帯電話のさらなる契約数の増加を牽引した33

こうして携帯電話によるインターネット接続の契約数は、わずか3年余りの間に5,000万を突破し、2002年度末には携帯電話に占めるインターネット接続利用者の割合は80%を超えるまでになり、世界を大きくリードするとともに、モバイルインターネットのコモディティ化への動きがこの時期に進展した(図表1-1-2-6図表1-1-2-7)。2005年末には、携帯電話等の移動端末によるインターネット利用者数が、パソコンによるインターネット利用者数を上回り、移動端末がインターネット接続サービスにおいても主役になった。

図表1-1-2-6 携帯インターネット加入数
(出典)電気通信事業者協会
図表1-1-2-7 主要国・地域における携帯電話のインターネット対応比率(携帯電話加入者に占める携帯インターネットの加入者数の割合)(2001年末当時)
(出典)平成14年版情報通信白書
「図表1-1-2-7 主要国・地域における携帯電話のインターネット対応比率(携帯電話加入者に占める携帯インターネットの加入者数の割合)(2001年末当時)」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

1995年にサービスを開始したPHSは、1年後の1996年度には契約数が前年度の約4倍になるなど急激に普及した。PHSは、通話中に回線が切れる、屋内及び郊外で使えないといった問題点が指摘されていたことから、郵政省は、可搬型中継装置の導入、公衆PHS基地局のカバーエリアの拡大などの省令改正を実施して対応したが、携帯電話のさらなる急激な普及に伴い、その契約数は1997年がピークとなった。

これに対して、PHS事業者は、インターネット利用者の常時接続への需要等に対応し、パケット通信を活用した定額データ通信サービスを展開し、全国の公衆無線LANスポットが利用可能なサービスやPHSからIP電話への接続サービス等を提供するなどして対応し、2000年代には契約数が横ばいから漸減となったが、2011年以降2014年度末にかけては、再び契約数が増加した34



29 NTTの加入電話の契約数は、1996年をピークとして、1997年から減少に転じた。また、公衆電話の施設数の総数は、1991年度以降減少していたが、携帯・自動車電話契約数の伸び等がこの傾向に拍車をかけた。

30 サービス種類の変更、高品質や価格条件を求めた事業者変更などの加入者のサービス選択行動は、2000年当時「チャーン」と呼ばれた。

31 iモードは、サービス開始のおよそ1年後の2000年2月末時点で447万契約に達した。同サービスの特徴は、ウェブの記述言語であるHTML(Hyper Text Markup Language)と親和性の高い、コンパクトHTML(C-HTML)を採用したことによりコンテンツ作成が容易である点であった。

32 PHSでも、2000年、DDIポケットのインターネットアクセスサービスである「オープンネットコンテンツ」が開始された。

33 このほか、2000年に位置情報サービス及びカメラ付き携帯電話の提供が開始されたことも重要な点であると思われる。

34 一方、我が国が開発したPHSシステムは、世界各国に利用が広がっていた。平成16年版情報通信白書には、「「小霊通(シャオリントン)」との名称で利用が拡大している中国をはじめ、台湾、タイ、ベトナム、インドネシアにおいても商業化へ向けた取組が進められている。海外で我が国のPHS端末が利用できる国際ローミングサービスは利用可能地域が拡大しており、PHSシステムの海外普及を促進するための団体であるPHS MOUグループによると、PHSシステムは世界26か国・地域で、2004年3月時点で約4,700万人が利用していると推計される。」との記述がある。

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