総務省トップ > 政策 > 白書 > 27年版 > テレワーク普及の社会的意義
第2部 ICTが拓く未来社会
第3節 ICTによる新たなワークスタイル―テレワークの可能性

(4)テレワーク普及の社会的意義

以上のようにテレワークは様々な効果をもたらし得るが、ここでは特に、テレワークが普及することの社会的意義を詳しく検証することにしたい。我が国では少子高齢化の進展に伴い、15〜64歳までの生産年齢人口が今後更に減少すると予測されており、労働参加率の向上を通じた労働力確保が中長期的な課題となっている2。テレワークの普及は、人々が多様で柔軟な働き方を選択することを可能にし、就業者の離職抑制や非労働力人口3の就業につながると期待されている。

ア 子育て世代女性の離職理由の7割が「結婚・出産・育児のため」

総務省「労働力調査」(平成26年)によると、非労働力人口のうち就業希望者4は2014年平均で419万人であり、そのうち女性が303万人、男性が116万人である。就業希望者のうち前職のある者は322万人であり、そのうち女性が257万人、男性が65万人である。

これら257万人の女性が前職を離職した理由をみると、最も多いのが「結婚・出産・育児のため」であり、割合で5割強、人数で135万人となっている(図表4-3-1-5)。年代別にみると、特に子育て世代(25〜44歳)の女性では、「結婚・出産・育児のため」に前職を離職した人の割合が高く、7割を超えている(図表4-3-1-6)。

図表4-3-1-5 非労働力人口における就業希望者(前職のある者)の前職離職理由
(出典)総務省「労働力調査」(平成26年)
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図表4-3-1-6 非労働力人口における就業希望者(前職のある者)の前職離職理由(男女別・年代別)
(出典)総務省「労働力調査」(平成26年)
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イ 「出産・育児」が理由で求職活動を行っていない女性は101万人

続いて、非労働力人口のうち就業希望者の女性(303万人)が求職活動を行っていない理由をみると、最も多いのが「出産・育児のため」であり、割合で3割強、人数で101万人となっている(図表4-3-1-7)。年代別にみると、特に子育て世代(25〜44歳)の女性では、「出産・育児」を理由に求職活動を行っていない人の割合が高く、25〜34歳で約7割、35〜44歳で約5割に達している(図表4-3-1-8)。

図表4-3-1-7 非労働力人口における就業希望者の非求職理由
(出典)総務省「労働力調査」(平成26年)
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図表4-3-1-8 非労働力人口における就業希望者の非求職理由(男女別・年代別)
(出典)総務省「労働力調査」(平成26年)
「図表4-3-1-8 非労働力人口における就業希望者の非求職理由(男女別・年代別)」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

このように我が国の場合、女性の離職理由の多くが結婚・出産・育児であり、また、多くの女性が就業を希望しながら出産・育児が理由となって求職活動を行えていない状況にある。特に25〜44歳までの女性についてその傾向が顕著である。テレワークが、子育てと仕事の両立可能性を高め、子育て世代の労働参画に貢献すれば、その効果は大きいと考えられる。

ウ テレワークは介護と仕事の両立の手段としても注目される可能性

非労働力人口における就業希望者のうち、「介護・看護のため」に前職を離職した人は、全体で16万人である(図表4-3-1-5)。また、非労働力人口における就職希望者のうち、「介護・看護のため」を非求職理由に挙げている人は、21万人である(図表4-3-1-7)。

一般社団法人エイジング総合研究センター(JARC)の推計によると、要介護対象人口は年々増加し2025年には702万人となり、65歳以上人口の2割以上を占めると予想されている(図表4-3-1-9)。

図表4-3-1-9 要介護高齢者の将来推計
(出典)エイジング総合研究センター「認知症・要介護高齢者の将来推計」

要介護対象人口の増加に伴い、今後、仕事と介護の両立が今以上に重要な課題となることは想像に難くない。テレワークは、働きながら介護を行うことを可能にするための手段の一つとしても、注目される可能性がある。



2 詳しくは、第5章第1節を参照。

3 15歳以上の人口のうち、就業者と完全失業者以外の者。

4 就業を希望しているが、何らかの理由で求職活動を行っていない者。求職活動を行っていない点で完全失業者と区別される。

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