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第2部 ICTが拓く未来社会
第1節 ICT の更なる進化

1 ICTの進化と課題

(1)これまでのICTの進化

ICTは、その機能に着目した場合、①データの入力と出力の機能を有する「端末」、②データを伝送する機能を有する「ネットワーク」、③データの蓄積と処理・解析の機能を指す「コンピューティング」の3分野に大別することができる。

各分野のこれまでの進化を振り返ると、まず、端末分野は、メインフレーム時代のホストコンピュータからワークステーションへ、パソコンから携帯電話・PDA、スマートフォン、タブレットなどのモバイル端末へ、高機能化・小型化が進展してきた。その過程でキーパッドにより入力された文字情報、マイクによる音声情報、カメラ機能による画像情報、ビデオ機能による映像情報など、人によって多種多様なデータが入力できるようになってきた(図表6-1-1-1)。

図表6-1-1-1 ICT端末の進化
総務省「通信自由化以降の通信政策の評価とICT社会の未来像等に関する調査研究」(平成27年)

次に、ネットワーク分野は、固定回線では、電話用途のメタル回線から、データ通信ネットワークとしてのメタル回線を活用したADSL、更に光ファイバー回線へ急速に大容量化を実現した。モバイル回線では、3G、3.9G、4Gと進化し、こちらでもデータの伝送速度は飛躍的に上昇し続けている。データ伝送速度が指数関数的に向上し、固定ネットワーク、モバイルネットワークともにあらゆるデータが瞬時に共有可能な状況になってきている(図表6-1-1-2)。

図表6-1-1-2 データ伝送速度の飛躍的上昇
(出典)総務省「通信自由化以降の通信政策の評価とICT社会の未来像等に関する調査研究」(平成27年)

最後に、コンピューティング分野は、いわゆる「ムーアの法則」2に従いCPU(中央演算処理装置)等の計算能力が指数関数的に向上するとともに、データを蓄積するストレージの大容量化も進んできた(図表6-1-1-3)。また、ネットワークが大容量化されていなかった時代には単体の端末でデータの蓄積と処理・解析が行われていたが、ネットワークの急速な大容量化を一因として、クラウドコンピューティングが進展・普及した。

図表6-1-1-3 CPU演算速度の向上とストレージの大容量化3
(出典)総務省「通信自由化以降の通信政策の評価とICT社会の未来像等に関する調査研究」(平成27年)

以上のように、端末、ネットワーク、コンピューティングの3つのICT分野は、相互に影響を与えながら、急速に進化してきた。



1 家庭向け固定通信の通信速度については、各年における家庭向け固定通信サービスのうち、下り最大通信速度が国内最速であるものを基準に作成。携帯電話の通信速度については、各年における携帯電話サービスのうち、受信時の最大通信速度が国内最速であるものを基準に作成。なお、これら通信速度は技術規格上の最大値であり、実際の通信速度とは異なる。

2 世界最大の半導体メーカーIntel社の創設者の一人であるゴードン・ムーア博士が1965年に経験則として提唱した「半導体の集積密度は18〜24か月で倍増する」という法則。

3 CPU処理速度の推移については、各年において市場に投入されたCPU製品のうち、動作周波数が世界最速であるものを基準に作成。HDD容量の推移については、各年において市場に投入されたHDD製品のうち、容量が世界最大であるものを基準に作成。

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