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第3部 基本データと政策動向
第8節 ICT国際戦略の推進

(2)二国間関係における国際政策の展開

ア 米国との政策協力

インターネットエコノミーに関する日米政策協力対話

インターネットエコノミーに関する幅広い政策課題について意見交換し、ICT分野の発展に向けた認識の共有化と地球的規模での課題における具体的連携を推進する観点から、2010年(平成22年)6月に日米両国の間で、「インターネットエコノミーに関する政策協力対話」を行うことで一致した7。同年11月に第1回を開催して以来、総務省の局長級をヘッドとし、内閣官房IT総合戦略室、内閣官房情報セキュリティセンター、外務省、経済産業省など関係省庁と連携して、米国と意見交換を行っている。

2014年(平成26年)9月には、第6回局長級会合がワシントンD.C.で開催され、①インターネットガバナンスに関するマルチステークホルダーシステムの確保に向けた日米協調、②パーソナルデータの利活用とプライバシー保護、③サイバーセキュリティ、④研究開発協力等その他の分野において、日米で継続的に連携することで一致し、共同記者発表が取りまとめられた8。また、会合冒頭で日米の産業界から、「日米インターネットエコノミー民間作業部会 共同声明」が提出され、ITU全権委員会議において、日米両政府が、同会議におけるインターネット政策議論が政治的・外交的な駆け引きに使われることが無いことを確保しつつ、新興国が適切なマルチステークホルダーによるコンセンサスをベースとした経済的観点を重視するようイニシアティブをとること等が提言された。さらに、今回の対話の機会に併せて、日米両政府及び産業界によるインターネットエコノミーに関するイベントとして「Wired for the Future: Japan-US Cooperation for New Internet Economy」が初めて開催され、民主主義、情報の自由な流通の確保等といった基本的価値観を共有する日米両国が、全世界的なインターネットエコノミーの発展を協調して先導していくとの姿勢が示された。

イ 欧州との協力

総務省は、欧州の情報通信担当省庁等との間で、情報通信に関する政策協議を開催している。

(ア)欧州連合(EU)との協力

2015年(平成27年)3月に東京で開催した日EU・ICT政策対話(第21回)において、総務省と欧州委員会は、日EU間の第5世代移動通信システム(5G)に関する協力を強化するために、研究開発分野での協力や国際電気通信連合(ITU)等国際機関での議論における協調等を内容とする総務省・欧州委員会の間での閣僚レベルでの共同宣言に向け所要の準備を進めることが確認されたほか、日EU間の国際共同研究に関し、第3次公募の実施に向けて今後のスケジュール等が確認された。これを受け、2015年(平成27年)5月、総務省と欧州委員会の間で5Gに関する具体的な協力関係の構築を目的とした初めての共同宣言が採択された。

また、政策対話の開催に先立ち、ルールの共通化を通じたデジタル経済の発展に向けた取組等、デジタル経済における重要課題について官民で自由な意見交換を行う場として、日EU・ICT戦略ワークショップ(第1回)が開催された。会合では、日EU双方の①ルールの共通化を通じたデジタル経済の発展についての意見交換、②産業界からのデジタル経済に向けた取組等の紹介、③日・EU以外の第3国への市場アクセスについての取組の共有を通じて、日EU間でさらに協力を深化していくことが確認された。

(イ) 欧州諸国との二国間協力

2014年(平成26年)5月に東京で開催された日仏ICT政策協議(第17回)では、フランス経済・生産再生・デジタル省(フランスの情報通信政策担当省)等との間で、ICT総合政策、国際場裏におけるインターネット政策課題に係る議論、電気通信分野の規制及びブロードバンド普及促進等について、意見交換がなされた。

ウ アジア・太平洋諸国との協力

総務省では、アジア・太平洋各国の情報通信担当省庁等との間で、通信インフラ整備やICT利活用等のICT分野に関する協力を行っている。

インドについては、2013年(平成25年)10月に、インド通信IT省電気通信委員会委員(技術担当)との間で、我が国とインドの情報通信分野における協力関係を強化することを目的とした、継続的かつ包括的な戦略的枠組みである「日印ICT官民戦略対話」の創設等に係る共同声明に署名がなされるとともに、日印合同作業部会の設置が合意された9。2014年(平成26年)1月には、インド通信IT大臣との間で、同作業部会の枠組み、取り扱うテーマ等の「日印ICT協力枠組み」について合意がなされ、日印共同プロジェクトの具体化を進めることとされた10

これを受け、同年2月、東京においてインド通信IT省との間で「第1回日印合同作業部会」を開催した。また、同年12月、ニューデリーにおける第2回会合において、日印共同プロジェクト(グリーンICT、サイバーセキュリティ協力、防災ICT、社会的課題解決のためのICT利活用)の実施を決定した。

インドネシアについては、2015年(平成27年)2月、日インドネシアICT協力枠組みに基づく第4回「日インドネシアICT共同作業部会」を東京で開催した。本会合では、我が国から、デジタル・ディバイド解消(ルーラルエリアにおけるブロードバンド普及)、防災ICT(災害発生時に通信インフラ構築を可能とするICTユニット)等の日インドネシア共同プロジェクトを提案し、実施を合意するとともに、インドネシア側が関心を有する、放送政策、地上デジタル放送移行後の跡地利用、電波監視等について意見交換を行い、これらの分野における協力に向けた検討を継続していくことを確認した。

シンガポールについては、2014年(平成26年)6月、総務省とシンガポール情報通信開発庁との間で、第3回「日シンガポールICT政策対話」をシンガポールで開催した。本対話では、ICT戦略、消費者保護、国際ローミング、セキュリティ対策、インターネットガバナンス及び2020年に向けたASEANと日本とのICT分野に係る協力活動の方向性といった多岐にわたる分野で意見交換を行い、今後も両国が直面する共通の政策課題について、国際的な議論の場も含め、連携して取り組んでいくことで一致した。

また、豪州については、2015年(平成27年)2月、シドニーにおいて総務省と豪州通信省との間で、スマート社会構築のための日豪ICT政策対話(第1回会合)が開催された。会合では、日豪両国の消費者に裨益する国際ローミング料金の引下げや、準天頂衛星を活用したG空間プロジェクトの推進をはじめ、インターネットガバナンス等を巡る国際協調の推進、医療・介護分野、防災分野及びインフラ維持管理へのICTの利活用、プライバシー保護、e-government等、インターネット及びICTに係る重要な議題について広範な議論がなされ、日豪両国は、政策面でのベストプラクティスの共有の重要性を認識し、今後も定期的に対話を実施することを確認した。



7 インターネットエコノミーに関する日米政策協力:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin06_02000027.html別ウィンドウで開きます

8 インターネットエコノミーに関する日米政策協力対話(第6回局長級会合)の結果:
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin08_02000040.html別ウィンドウで開きます

9 「日印ICT官民戦略対話」の創設等を内容とする共同声明への署名:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin09_02000021.html別ウィンドウで開きます

10 「上川総務副大臣のウズベキスタン共和国及びインド共和国への訪問結果」:
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin09_02000023.html別ウィンドウで開きます

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