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第2部 ICTが拓く未来社会
第2節 ICTが創る未来のまち・ひと・しごと

第2節 ICTが創る未来のまち・ひと・しごと

最後に、前節までの検討を踏まえ、2030年頃、ICTによってどのような社会が実現すると期待されるかを、未来の「まち」「ひと」「しごと」という3つの観点から、素描することにしたい。

まず「まち」の分野では、IoT化の進展により、交通システム・物流システムをはじめとした様々な社会システムがICTによる最適制御の対象となっていく。その中で、自動走行車が実用化され、人々は渋滞や事故の心配なく目的地まで迅速かつ安全に移動できるようになる。道路や橋等のあらゆる社会インフラがスマート化され、維持・管理の低コスト化に貢献するとともに、災害時の安全性も大きく向上することが予想される。

経済に目を向けると、ビッグデータの活用があらゆる産業に浸透し、製造業だけでなく、サービス業や農林水産業、医療・福祉業等の地域経済の中核となる産業の生産性が向上していく。同時に、これらの産業分野でのロボット活用も本格化し、人手不足の解消と更なる生産性の向上が図られるとともに、新たなイノベーションが生み出されていく。

次に「ひと」の分野では、ウェアラブルデバイスを通じた緻密な健康管理が一般化する結果、多くの人々が年をとっても健康に暮らせるようになる。また、ロボットが家事や介護など、生活の様々な場面で人々の暮らしをサポートするようになるとともに、コミュニケーションの良きパートナーとしても定着していく。さらに、多言語自動翻訳の実用化により、コミュニケーションにおける言葉の壁は取り払われ、異なる国や文化圏に属する人々の間の相互理解が今以上に進むことだろう。

そして「しごと」の分野では、ロボットを含むICTによる雇用代替が進む結果、人間の役割はより創造性の高い仕事へと次第にシフトしていき、広い意味でのICT活用能力が更に重要性を増していく。また、サービス業におけるシェアリング・エコノミーの台頭や、製造業における「メイカー・ムーブメント」の登場にみられるような、経済活動における個人の役割の拡大も加速する。そうした中、テレワークのようなICTを活用した柔軟な働き方は、あらゆる人々がそれぞれの事情に応じて社会参加し、自分に適した場所、自分に適した環境でその創造性を最大限発揮するための手段として、広く浸透していくことだろう(図表6-2-1-1)。

図表6-2-1-1 ICTを利活用した未来社会のイメージ
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