これまで述べた各国の産業構造やその推移の違いの結果、各国ICT企業の競争はどのように変化してきたか。ここではとりわけグローバル化が進展しているデバイス製造レイヤー、通信機器レイヤー、プラットフォームレイヤーについて、売上高合計と各国ICT企業の売上高ベースの市場シェアの変化についてみてみる。
デバイス製造レイヤーにおける推移について図表1-3-2-9に示す。売上高合計は堅調に拡大している。デバイス製造レイヤーにおける諸外国の代表的企業としては、米国General ElectricやApple、中国Great Wall TechnologyやTCL、韓国Samsung、台湾Hon Hai(Foxconn)、ドイツSiemensなどが挙げられる。日本企業は、パナソニック、ソニー、東芝が挙げられる。2001年においては米国と日本の市場シェアは拮抗していたが、以降は韓国や台湾のシェア上昇とともに、日本の市場シェアは低下傾向が続いている。米国においては、Appleの躍進により2013年にシェアが上方へ向いた。
通信機器レイヤーにおける推移について図表1-3-2-10に示す。売上高合計は特に2004年から2007年にかけて大幅に拡大している。これは、グローバル規模で移動体通信をはじめとする通信インフラ需要が伸びたことが背景と考えられる。一方で、2010年から2013年にかけては下降に転じており、伸びが鈍化した状況がうかがえる。通信機器レイヤーにおける諸外国の代表的企業としては、米国Cisco、フランスAlcatel-Lucent、中国Huawei、スウェーデンEricsson、日本のNEC、沖電気などが挙げられる。本レイヤーの特徴としては、中国企業の躍進が挙げられ、米国、中国、フランス、スウェーデンの企業にシェアが集中しつつある。
プラットフォームレイヤーにおける推移について図表1-3-2-11に示す。売上高合計は急速に拡大しているのが分かる。プラットフォームレイヤーの諸外国の代表的企業としては、米国Google、中国Tencent、中国Baidu、韓国Naver、日本CyberAgentなど挙げられる。本レイヤーは米国Googleがグローバルレベルで席巻していることから、日本をはじめ、他国企業の売上高シェアは低下傾向にある。