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第2部 ICTが拓く未来社会
第1節 我が国経済の将来課題とICT

(1)ICT投資の我が国経済への寄与

ア ICT投資の労働生産性への寄与

●労働生産性成長率へのICT資本財の寄与度は1995年以降一貫してプラス

まず、企業のICT投資が我が国経済にどれだけ寄与しているかをみてみよう。右図は、労働生産性の成長率を、ICT資本財の深化による寄与度、非ICT資本財の深化による寄与度、それ以外の全要素生産性(TFP)の上昇による寄与度に分解したものである。我が国の労働生産性成長率そのものは年によりマイナス値を取ることもあるが、労働生産性成長率へのICT資本財の寄与度は一貫してプラス値を取り続けていることがわかる(図表5-1-3-1)。

図表5-1-3-1 我が国の労働生産性成長率の推移とICT資本財の寄与度
(出典)総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成27年)
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●労働生産性成長率へのICT資本財の寄与度は製造業、サービス産業ともにプラス

続いて、労働生産性成長率へのICT資本財の寄与度を産業分類別にみてみよう。右図は、2000年から2013年までの期間を対象に、労働生産性成長率の寄与度分解を全産業、製造業、サービス産業のそれぞれについて行ったものである。製造業では期間中の労働生産性年平均成長率3.18%に対し、ICT資本財深化の寄与度は0.15%、サービス産業では期間中の労働生産性年平均成長率0.32%に対し、ICT資本財深化の寄与度は0.14%となっており、労働生産性成長率に対するICT資本財の寄与度は製造業、サービス産業ともにプラス値となっている(図表5-1-3-2)。

図表5-1-3-2 産業分類別労働生産性成長率へのICT資本財の寄与度
(出典)総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成27年)
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ICT投資が産業部門を問わず労働生産性を引き上げていることがわかる。

イ ICT投資の経済成長への寄与

●ICT資本サービスの経済成長への寄与は1990年以来一貫してプラス

次に、ICT投資が我が国の経済成長にどれだけ寄与しているかをみてみよう。右図は、資本を「ICT資本」とそれ以外の「一般財資本」の2種類に区分した上で、成長会計の手法により各生産要素の経済成長への寄与度を計測したものである。ICT投資によるICT資本ストックの増加を反映した「ICT資本サービス」の我が国経済成長率への寄与度は、1990〜1995年が0.40%、1995〜2000年が0.69%となっており、ICT投資が90年代以降、我が国経済の成長に大きく寄与したことがわかる。また、2000〜2005年、2005〜2010年においても、ICT資本サービスの寄与度はそれぞれ0.27%、0.34%となっており、やや小さくなりながらもプラスに推移している。2010〜2013年にかけては、経済成長率全体が0.97%となる中、ICT資本サービスの寄与度は0.19%であった(図表5-1-3-3)。

図表5-1-3-3 ICT資本サービスの経済成長への寄与
(出典)総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成27年)
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労働力人口の減少を背景に、経済成長への労働サービスの寄与度は1990年以来マイナス値を取り続けている。これとは対照的に、ICT資本サービスの経済成長への寄与度は1990年以来一貫してプラス値を取っており、ICT投資が人口減少社会における経済成長を支える役割を果たしていることがうかがえる。

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