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第1部 ICTの進化を振り返る
第1節 通信自由化30年―制度、サービス、市場の変遷

(4)情報通信政策の動向

ア ICTによる成長戦略とIT戦略本部の設置36

2000年当時、世界規模で生じているICTによる産業・社会構造の変革(IT革命)に対し、日本も全体として戦略的かつ重点的に取り組むことが急務であるとして、高度情報通信社会推進本部を改組する形で情報通信技術(IT)戦略本部が設置された(図表1-1-2-8)。その後、11月にはIT基本戦略を決定し、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)が成立した。2001年に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)を内閣に設定するとともに、「e-Japan戦略」が策定された(図表1-1-2-9)。そこでは重点政策分野として、超高速ネットワークインフラ整備及び競争政策、電子商取引、電子政府の実現、人材育成の強化の4分野が挙げられた。さらに「e-Japan戦略重点計画」では、世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成、教育及び学習の振興並びに人材の育成、電子商取引等の促進、行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進、高度情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保、横断的な課題について具体的な取り組みが明らかにされた。

図表1-1-2-8 IT国家戦略年表
図表1-1-2-9 IT国家戦略のフレーム

e-Japan戦略重点計画は、その後毎年見直され、2005年の目標達成に向けて実行されていくことになる。e-Japan戦略は、その初期には、インフラ等の基盤整備に重点が置かれ、その後、「e-Japan戦略U」では、医療、食、生活、中小企業金融、知、就労・労働、行政サービスという利活用分野に重点が移り、「e-Japan戦略U加速化パッケージ」を経て、「IT政策パッケージ-2005」では、2006年以降も見通しながら、ITの利活用を一層進めるとともに、ITがもたらす問題点を克服するとしている。具体的な取組分野としては、教育・人材、生活、研究開発、国際政策、情報セキュリティ・個人情報保護、電子商取引、行政サービス、医療が挙げられた。

e-Japan戦略では、我が国が5年以内に世界最先端のIT国家となることを目指すこととされたが、e-Japan戦略重点計画における重要政策分野の一つである「世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成」の中では、①その目標である、5年以内に少なくとも3,000万世帯が高速インターネットアクセス網に、また1,000万世帯が超高速インターネットアクセス網に常時接続可能な環境を整備すること、及び②地理的要因による情報格差を是正することを目標として掲げており、これを実現するためのロードマップとして、総務省では、2001年、「全国ブロードバンド構想」を公表した。同構想では、高速・超高速インターネットの全国的な普及に関して、2005年度までのスケジュールや官民の役割分担、実際の利用見込み、期待される社会生活の変化が明らかにされた。これに基づき、総務省における「地域情報交流基盤整備モデル事業」の創設など、官民を挙げて目標の達成に向けて積極的に努めた。

こうした順調なブロードバンド化の進展を踏まえ、2003年、IT戦略本部は、e-Japan戦略の見直しを行い、戦略の重点を、従来のインフラ整備からIT利活用促進に大きく転換させるとともに、ユビキタスネットワークの形成を新しいIT社会基盤整備の目標像として位置づけた。これを受けて、総務省では、「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」ネットワークにつながり、情報の自在なやりとりを行うことができるユビキタスネット社会(u-Japan)37を、2010年を目途として実現すべく、その将来像を提示するとともに、その実現のために必要となる政策を「u-Japan政策」として取りまとめた。u-Japan政策においては、①ユビキタスネットワークの整備、②ICT利活用の高度化、③ICT利用環境整備を3つの柱として、2010年に我が国がフロントランナーとして世界を先導していくことが新たな目標として掲げられた38

イ NTTの在り方を巡る議論

政府措置において、公正有効競争の促進、NTTの経営の向上等の措置の結果を踏まえ、NTTの在り方について1995年度に検討を行い、結論を得ることとされていることを踏まえ、1995年から再度NTTの在り方は議論された。

その結果、1996年、次のとおり、NTTを再編成する方針が定められた。①NTTを純粋持株会社の下に、長距離通信会社と2の地域通信会社に再編成する、②持株会社は、地域通信各社の株式の全てを保有するとともに、基盤的な研究を推進する特殊会社とする、また、持株会社は、長距離通信会社の株式の全てを保有するものとする、③地域通信各社は、基本的に県内に終始する通信を扱う、特殊会社とし、当該エリアにおける電話をあまねく確保する責務を負う、④長距離通信会社は、基本的に県を超える通信を扱う、民間会社とし、新たに国際通信にも進出しうるものとすることなどである。こうして同社は、持株会社の下に長距離・国際会社と2つの地域会社に再編成されることとなり、1999年にNTT(日本電信電話株式会社:持株会社)、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社(長距離・国際通信会社)、東日本電信電話株式会社(地域通信会社)、西日本電信電話株式会社(地域通信会社)という4社になった。

ウ 相互接続ルールの進展

1990年代後半から2000年頃にかけて、郵政省では、21世紀初頭を視野におき、通信分野において新たに取り組むべき政策として、公正競争の一層の促進、インターネットの普及・高度化、電波利用の一層の促進・高度化、情報通信利用環境の整備を推進した。

まず、相互接続を円滑に推進するため、1997年には、事業法を改正し、主に次の内容を措置した。

①第一種電気通信事業者は、接続の請求に応じなければならないこととする。

②固定通信について、他の事業者の事業展開上不可欠な設備(NTTの加入者回線など)を「指定電気通信設備」として指定し、当該設備との接続に関する接続料及び接続条件の公平性・透明性や、接続の迅速性を確保するため、接続約款を定め、認可を要することとする等の規律を課すこととする。

③指定電気通信設備との接続に関する会計を整理し、当該接続に関する収支の状況等を公表しなければならないこととする。

④指定電気通信設備の機能の変更又は追加の計画を公表しなければならないこととする。

東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社(以下この節で「東・西NTT」という)の地域通信網との接続については、上記1997年の事業法の改正により設けられた制度では、接続料は実際費用方式(指定電気通信設備の管理運営において実際に発生した費用に基づき算定される方式)によることとされていた。これにより東・西NTTの事業者間接続料は着実に下がってきていたが、情報の非対称性、既存事業者の非効率性排除等の点で一定の限界があるため、2000年の事業法の改正により、接続料について長期増分費用方式(現時点で利用可能な効率的な設備を用いて、接続により増加する通信量または回線数に応じて新たに構築した場合の費用に基づき算定される方式)が導入された39

また、DSL技術により、事業者が簡便に調達できる局内設備を既存の電話加入者回線に直接接続することで高速のインターネットアクセスサービスを提供することが可能となり、これを契機として、高速サービスを実現するための、局内設備の設置と加入者回線との円滑な接続のためのルール整備が必要と認識されてきた。そこで、2000年には、メタルの加入者回線等を細分化(アンバンドル)して接続するための(いわゆるドライカッパ、ラインシェアリング)接続料及び接続条件や、競争事業者が接続のための局内設備を東・西NTTの局舎に設置(コロケーション)するための条件や手続等についてルール整備が行われた。2001年には、加入者系光ファイバーのアンバンドルについても開放するための(いわゆるダークファイバなど)ルールが整備された。この結果、競争事業者による積極的な事業展開等とも相まって、我が国では、世界最先端の安価で高速なブロードバンドサービスを利用可能な環境が整備され、その契約数も、2015年3月には約3,600万契約に達している。

さらに、2001年には、移動通信に係る第二種指定電気通信設備の制度を創設し、固定通信に係る第一種指定電気通信設備を除く設備の接続に関する協定については認可制を届出制とする事業法等の改正が行われた。

エ 非対称規制の導入

21世紀における我が国経済の更なる発展及び豊かで活力のある社会の実現のため、郵政省は、2000年に電気通信審議会に対し、「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方」について諮問し、新たな競争政策の実現に取り組んだ。その結果、2001年、主に以下の内容の事業法等の改正が行われた(図表1-1-2-10)。

図表1-1-2-10 非対称規制の整備の概要
(出典)平成14年版情報通信白書

①市場支配力を有する事業者の反競争的行為を防止、除去することを目的とした非対称規制の整備40

②専ら通信事業者の通信事業の用に供する通信役務(卸電気通信役務)の制度整備

③通信設備の接続等に関する通信事業者間の紛争等の円滑かつ迅速な処理を図るための電気通信事業紛争処理委員会の設置41

④ユニバーサルサービス(基礎的電気通信役務)の提供の確保に係る制度の整備42

⑤東・西NTTの経営自由度を高めるための業務範囲の拡大

オ その他の競争促進政策
(ア)参入規制の緩和など

通信自由化以来10年の結果を踏まえ、郵政省は、1996年、競争の一層の促進を通じて、情報通信市場の活性化と高コスト構造の是正を図るため、規制緩和を一層推進することとした。1997年、通信事業への新規参入の円滑化を促進するため、第一種電気通信事業の参入許可の基準から過剰設備防止条項を削除した。

また、情報通信審議会は、IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方について2002年に最終答申を発表し、2003年、これを踏まえた事業法の改正が行われ、参入規制関係では、主に以下の内容が措置された。

①一種・二種の事業区分の廃止

②事業への参入・事業内容の変更に関する制度の見直し43

③公益事業特権に関する制度の見直し44

(イ)料金規制の緩和

それまで、第一種電気通信事業者が提供する全ての通信サービスの料金等は認可制となっていたが、1995年、携帯電話・PHSなどの移動通信サービスについては、多様なサービスの迅速な提供と競争の促進を図るため、他の通信サービスに先行して事前届出制に移行した。その結果、選択料金制の導入など料金体系の多様化が実現したことに加え、日本銀行「企業向けサービス価格指数」(1995年基準)によれば2001年の携帯電話・PHSの料金指数は56.6となるなど、料金の低廉化が進展した。この規制緩和は、1994年の携帯電話・PHS端末の売り切りと相まって、携帯電話・PHSの爆発的な普及につながった。

また、1998年、長距離・国際電話などの通信サービスについては、競争の進展状況や高度化・多様化する利用者ニーズに機動的に対応できるようにするため、原則事前届出制とし、料金の適正さについては事後的に料金変更命令により担保することとした。他方、県内通信などの通信サービスについては、サービス提供のための設備の大半を東・西NTTが設置しており、通信設備ベースでの競争が進展せず、他の通信事業者が十分な代替サービスを提供することが難しかったことから、通信事業者に経営効率化インセンティブを与えつつ、市場メカニズムによる場合と同等の実質的な料金の低廉化をはかるために、上限価格規制(プライスキャップ方式)を導入することとした(プライスキャップ方式は、2000年10月から運用開始)。

さらに、2003年には、通信サービスの料金等についての事前届出制を原則廃止し、業務改善命令などによる事後的な救済措置を図ることとした。ただし、国民生活に必要不可欠であるためあまねく日本全国における提供が確保されるべき通信サービス(ユニバーサルサービス)等については事前届出の義務を残すこととした。あわせて、利用者が料金やサービス内容等について十分に理解した上で、適切なサービスを選択し、安心して利用できるようにすることなどにより、通信役務の円滑な提供を確保し、利用者利益の保護が図られるよう、通信事業者及びその代理店に対し、国民の日常生活に係る通信サービスの提供に関する契約の締結等をするときは、料金その他の提供条件の概要について説明する義務を課すとともに、通信事業者に対し、その業務の方法等についての苦情及び問合せについて適切かつ迅速に処理する義務を課すこととした。また、通信事業者が事業の一部又は全部を休廃止しようとするときは、利用者に事前に周知しなければならない義務を課すこととした。

(ウ)優先接続機能の提供開始

1985年の電気通信制度改革後、県間や県内市外等の長距離電話等を提供するNCCがサービスを開始した。当時、NCCが提供する長距離電話を利用するには、相手先電話番号の前に事業者識別番号(「00XY」)をダイヤルする必要があったが、1999年のNTT再編で新設したNTTコミュニケーションズの長距離電話は、事業者識別番号をダイヤルせずに利用することができた。このため、NCCはNTTに対して、公正競争及び利用者利便の観点から、利用者が事前に通信事業者を登録することで事業者識別番号をダイヤルせずに長距離電話の利用可能となる優先接続機能を導入すべきとの要望があった。

これを受け総務省では、関係事業者が参画する研究会等を開催し、東・西NTTにおいてもNCCに対して提供する優先接続機能の技術的詳細について検討を行い、2001年から、東・西NTTの電話会社選択サービス「マイライン」及び電話会社固定サービス「マイラインプラス」として提供が開始された。

(エ)固定電話の番号ポータビリティ

従来、利用者が契約している通信事業者を変更する際には、電話番号を変更することが余儀なくされていた。そのため、利用者に番号変更の周知等のために大きな負担がかかるだけではなく、利用者が他の事業者に契約変更する際の障壁となりうる状況となっていた。

このような状況に対応するため、総務省は、2001年、固定電話の番号ポータビリティを導入した。これは、利用者が契約する通信事業者を変更してもこれまで使用していた電話番号を引き続き使用できるようにするものであり、利用者がより通信事業者を選択し易くなり、利用者の利便性の向上及び事業者間の公平な競争条件を確保するものであった。

(オ)公専公接続の実現

前述のとおり、いわゆる「公-専」片端接続が1995年から可能となっていたが、専用線の利用を完全自由化するため、1996年、専用線の両端に公衆網を接続する、いわゆる「公-専-公」接続が認可された。これを利用して、社内の通信網として利用していた企業ネットワークの活用により、社内の利用者のみでなく、一般利用者を対象とする廉価な電話サービスの提供が開始された。

加えて、国際特別第二種電気通信事業者が国際専用線の両端に公衆網を接続するいわゆる国際公専公接続については、1997年、国際インターネット電話サービス提供の自由化が行われ、基本音声サービスを含む国際公専公接続の完全自由化が実現した。

(カ)KDDの国内通信参入とKDD法の廃止

KDDは、KDD法に基づき専ら国際通信事業を行ってきたが、1997年の同法改正により、国内通信への参入を実現することとなり、現在の通信市場における3グループ体制につながっていった。1998年には、国際電信電話株式会社法(KDD法)が廃止され、KDDが純粋民間会社化された。

(キ)通信事業分野における競争評価の実施

IP化・ブロードバンド化等を背景として複雑化する通信事業分野の競争状況を正確に把握するため、総務省は、2003年度から競争評価の実施を開始した。

カ 国際通商問題

新たな世界貿易体制の確立のため、1995年に世界貿易機関(WTO)が発足し、その「サービスの貿易に関する一般協定(GATS)」においては、通信分野について、公衆電気通信へのアクセス及び利用に関する規則を規定する「電気通信に関する附属書」が作成された。

一方、音声電話サービス等の「基本電気通信分野」については、その自由化交渉である「基本電気通信交渉」が1994年から開始され、最終的にWTO加盟130か国中69か国が自由化約束を提出し、交渉期限内に合意が成立した(1998年発効)。基本電気通信分野の自由化及び競争を通じ、料金の低廉化、サービスの多様化などが各国で図られ、サービス利用者に対し利便性の向上や通信市場の一層の活性化が図られることとなった。我が国は、第一種電気通信事業者(NTT、KDDを除く)について、無線局も含め一切の直接・間接の外資規制の撤廃を提案する(1998年実施)など、交渉の成功に向け積極的に貢献した。

キ インターネットの「負の側面」への対応

インターネットの急速な普及は、不正アクセス行為による被害の発生や違法・有害情報の流通などの「負の側面」も拡大させた。このような状況に対応するため、この時期に様々な法整備が行われた。

具体的には、まず、不正アクセス行為の禁止・処罰等を内容とする「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(不正アクセス禁止法)が1999年に制定され、翌年施行された。また、インターネット上等での情報流通によって権利の侵害があった場合における、プロバイダ等の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利について定める「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(プロバイダ責任制限法)が2001年に制定され、翌年施行された。更に、いわゆる「迷惑メール」による被害が社会問題化したことを受けて、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(特定電子メール法)が2002年に議員立法によって制定され、同年施行された。加えて、2000年前後に発生した個人情報漏えい事件や、インターネットの普及に伴う電子商取引の拡大等を契機として、「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)が2003年に制定され、2005年に全面施行された。



36 これに先立ち、1994年には、我が国の高度情報通信社会の構築に向けた施策を総合的に推進するとともに、情報通信の高度化に関する国際的な取組に積極的に協力することを目的に、内閣総理大臣を本部長、内閣官房長官、郵政大臣及び通商産業大臣を副本部長、その他全閣僚を本部員とする高度情報通信社会推進本部が設置された。

37 「u-Japan」の理念は、「ユビキタス(あらゆる人やモノが結びつく)」、「ユニバーサル(高齢者等でも簡単に利用できる)」、「ユーザー中心(利用者の視点が融けこむ)」、「ユニーク(個性ある活力が湧き上がる)」の4つからなるが、その中心となるのは「ユビキタス」であり、「人と人」だけでなく、「人とモノ」、「モノとモノ」のコミュニケーションが簡単になされるところが特徴であり、「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」簡単にネットワークにつながり、ICTが草の根のように生活の隅々にまで融け込むようになるというものであった。

38 u-Japan政策を推進するため、「u-Japan推進計画」や「ICT政策大綱」等を定め、これらに基づいて各種の施策を展開した。また、ユビキタスネット社会における活用事例を募集し、優秀な事例を表彰するほか、利活用モデルとして広く普及啓発を図るため、「u-Japanベストプラクティス事例集」を公表し(2006年)、「u-Japanベストプラクティスシンポジウム」を開催した(同年)。

39 なお、事業者間接続料の引き下げ問題については、日米規制緩和対話において1998年から議論されてきた東・西NTTの接続料に関する実施目標に関して協議が行われ、2000年、両政府間において、3年間で22.5%の引き下げを行うこと等について合意するに至った。

40 市場支配力を有する通信事業者(市場支配的事業者)がその市場支配力を濫用した場合、通信事業者間の公正な競争及び利用者の利益を含めた通信の健全な発達に及ぼす弊害は著しく大きく看過し得ないものとなるため、その市場支配力の濫用を未然に防止、除去するためのルールを導入することとした。

41 通信分野においては、通信事業者間における接続形態の複雑化等に伴い、通信事業者間等の紛争事案が高度化・複雑化していることにかんがみ、通信事業における紛争処理機能の強化を図り、通信事業者間等の紛争事案の迅速かつ効率的な処理を図る観点から電気通信事業紛争処理委員会(現在の「電気通信紛争処理委員会」)を創設した。

42 ユニバーサルサービスの提供は、電電公社の民営化後も都市部等の採算地域から地方への内部補助によって維持されてきたが、地域通信市場においても競争が進展しつつある中、採算地域において地域間補填の原資確保が困難となってくることを踏まえて、ユニバーサルサービスの確保に係る費用の一部を各通信事業者が負担する基金制度を導入した。
 2006年には、ユニバーサルサービス制度に基づく交付金の額及び交付方法の認可並びに負担金の額及び徴収方法の認可を行い、制度が初めて運用されることとなった。その後もユニバーサルサービス制度については、累次の見直しが行われている。

43 通信回線設備を設置する通信事業への参入に係る許可制を廃止し、簡素な手続である登録制又は届出制とした。

44 通信事業者が希望によりインフラ構築の円滑化のための公益事業特権を受けるための認定制度を導入した。

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