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第2部 ICTが拓く未来社会
第3節 ICTによる新たなワークスタイル―テレワークの可能性

(3)福岡市役所

ア 2014年10月から半年間、在宅勤務を試行的に導入

福岡市では、2015年度からの在宅勤務の本格実施に先駆け、業務への影響などを検証するため、2014年10月から半年間の在宅勤務を試行した。

未就学児の子育て又は家族の介護を行っている職員を対象に募集した。その結果、子育て中の職員2名から応募があった。

在宅勤務は職員の自宅で市役所が貸与する業務用パソコンを使って行う。在宅勤務のシステム基盤としてクラウド型仮想デスクトップサービスを導入しており、庁内のシステムを自宅で利用できるため、自宅でも職場にいるかのように仕事ができる。情報漏洩を防ぐため、自宅のパソコンにはデータが残らない仕組みとなっている。

在宅勤務は週4日以内まで実施することが認められているが、他の職員と共同で行う仕事が多いこともあって、在宅勤務の実績は週1、2回程度であった。毎週、在宅勤務の計画と実績報告を所属長に行う。在宅勤務をする職員の勤務時間や給与等の勤務条件、服務管理等は、基本的に勤務公署でのものに準じている。在宅勤務者は、勤務開始時には、メールでその旨を報告し、終了時は成果とともに報告する。

イ 参加した職員からは在宅勤務に前向きな評価

試行に参加した職員からは、通勤の負担が減ることで、子育てにあてられる時間が増え、生活に余裕ができたとの感想が寄せられている。電話対応等がないため、業務に集中でき、効率よく作業ができたとの声もあった。週1、2回程度の在宅勤務であれば、コミュニケーションや評価などの問題もないと受け止められており、職員からは総じて在宅勤務に前向きな評価が得られている。

その一方で、作業予定を調整し、他の職員との共同作業等が不要な業務を在宅で行っているため、在宅勤務者には仕事の進め方、時間管理、業務の調整等の点で、マネジメント能力が求められることも分かった。

市では、在宅勤務の制度を設けることで、子育て中や介護中の職員が仕事を継続しやすくなるとともに、子育て中や介護中であっても担える仕事の幅が拡がり、職員のキャリア形成にも資すると期待している。

市では、2015年度以降順次在宅勤務を拡大していくことを予定しており、将来的には対象者の範囲を拡げていくことも視野に入れている。

地方都市におけるサテライトオフィス・コワーキングスペースの設置

本節の冒頭で述べたように、テレワークには、自宅において実施する場合(在宅型)以外にも、事業者自らがテレワークのための拠点(サテライトオフィス)を設置し、そこを活用してテレワークを行う場合もある。近年、都心部立地の企業が、事業継続性の意味も含み持たせ、地方都市にサテライトオフィスを設置するケースが増えており、地方活性化にも資する取組として注目を集めている(図表4-3-4-3)。

図表4-3-4-3 地方都市へのサテライトオフィス設置例
(出典)総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」(平成27年)

自社単独でサテライトオフィスを設置すると費用負担が大きくなることから、個人事業者や小規模事業者では、事業者間で作業拠点を共用する「コワーキングスペース」を活用するケースも増えている。コワーキングスペースは、各利用者の作業スペースであるとともに、利用者同士の交流の場ともなっており、活発なコミュニケーションを通じて新たなビジネスチャンスを創造する効果もあると期待されている。

コワーキングスペースの運営に携わる事業者等で構成されているコワーキング協同組合によると、国内のコワーキングスペースは、約280か所あり、大都市部だけではなく、地方都市においても開設されるようになってきている(図表4-3-4-4)。

図表4-3-4-4 地方都市でのコワーキングスペース設置例
(出典)コワーキング協同組合ウェブサイトを元に作成
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