総務省トップ > 政策 > 白書 > 27年版 > ICTによる新たな市場の創造(需要面①)
第2部 ICTが拓く未来社会
第1節 我が国経済の将来課題とICT

(4)ICTによる新たな市場の創造(需要面①)

ICTは、新たな市場創造の源泉である。ICT分野では、携帯電話、パソコン、薄型テレビ、スマートフォン、タブレット等の革新的な商品や、オンラインショッピング、コンテンツ配信、オンラインゲーム、ソーシャルメディア、スマートフォン各種アプリ等の革新的なサービスが、次々と開発・提供され、新たな市場を創造してきた。高度成長期にはいわゆる「三種の神器」や「新・三種の神器」の普及が経済成長を需要面で支えたが、90年代以降の我が国の経済成長を需要面で支えているのはICT関連の商品・サービスである。

ICT分野の商品やサービスも、その他の商品やサービスと同様、個別に見れば導入期から成長期を経て、いずれ需要の飽和に達する。しかし、ICT分野の商品やサービスには、ある商品やサービスが一たび市場に広く行き渡ると、その商品やサービスをプラットフォームとして派生的に新たな商品やサービスが創造され、その繰り返しにより新市場が多層的に形成されていくという特徴がある7。たとえば近年では、スマートフォンの急速な普及が様々なアプリの開発と普及につながり8、アプリの普及がアプリ内コンテンツ市場(たとえば、LINEの「スタンプ」市場9)の拡大につながっている。あるいは、ソーシャルメディアの普及により信頼関係が可視化されたことを背景に、個人間でモノやサービスを共有する「シェアリングエコノミー(共有経済)」と呼ばれる新たな取引形態が登場している。今後も、ICT分野でのこのようなプロダクト・イノベーションの連続が、我が国の経済成長を需要面で支えていくものと考えられる(図表5-1-2-2)。

図表5-1-2-2 ICT産業の広がり
(出典)総務省「グローバルICT産業の構造変化及び将来展望等に関する調査研究」(平成27年)


7 このような特徴は他分野の商品やサービスにも見ることができるが、ICT分野の商品・サービスは特に顕著である。

8 野村総合研究所の推計によれば、日本におけるスマートフォン向けアプリを利用したビジネス(アプリ経済)の市場規模(2013年)は約8,200億円である。< http://innovation-nippon.jp/reports/NRI_Internet%20and%20Japan%20Economy_hi.pdfPDF >

9 LINE株式会社はユーザーがLINEスタンプを制作・販売できるプラットフォーム「LINE Creators Market」を提供しているが、同社プレスリリースによれば、そこでの販売・購入実績は2014年5月の開始以降11月までの6か月間で35.9億円に達している。< http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2014/880別ウィンドウで開きます >

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