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第3部 基本データと政策動向
第4節 放送政策の展開

第4節 放送政策の展開

1 放送コンテンツ流通の促進

(1)放送コンテンツの海外展開

放送コンテンツの海外展開は、単なる放送番組の輸出にとどまらず、放送コンテンツを通じた日本の製品・サービスへの好影響や訪日外国人観光客の増加といった大きな波及効果が期待でき、国家戦略としての「クール・ジャパン戦略」、「ビジット・ジャパン戦略」、「地方の創生」、「日本文化・日本語の普及」にも大きく貢献するものである。これに加えて、ソフトパワーを通じた日本に対するイメージ向上にも寄与し、外交的な観点からも極めて重要である。

我が国のコンテンツ市場は、ここ数年間は約11兆円規模で推移してきており(平成25年:11兆2,951億円(そのうち、放送コンテンツの占める割合は33%))、世界有数の市場規模を有している一方、海外輸出はその市場規模に比して進んでいないのが現状である。

このような状況を踏まえ、今後成長が見込まれるアジア新興国の旺盛な外需を取り込み、我が国の経済成長や地域経済の活性化に貢献するため、「放送コンテンツの海外展開の促進」を成長戦略の大きな柱の一つとして位置付け(「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)、「2018年度までに、放送コンテンツ関連海外市場売上高を2010年度(66.3億円)の約3倍に増加させる」という国家目標を掲げており、平成25年度の放送コンテンツ関連海外市場売上高は約106億円(実績値)となっている。

このような中、平成25年8月に放送コンテンツの海外展開をサポートする官民連携の横断的組織として、放送局や権利者団体、商社、広告代理店といった幅広い関係者が参画した「一般社団法人放送コンテンツ海外展開促進機構」(BEAJ(ビージェイ))1が設立された。当面の戦略として、ASEAN主要国において地上波等の効果的なメディアの放送枠を確保し、魅力ある日本の放送コンテンツを継続的に放送することを掲げており、関係機関(クールジャパン機構、日本政府観光局(JNTO)、国際交流基金等)とも密接に連携しながら取組を進めているところである。

総務省では、BEAJとも密接に連携しながら、放送コンテンツの海外展開の取組を強化しているところである。具体的には、平成25年度補正予算において、周辺産業と連携しながら地域の魅力を伝える放送コンテンツを製作し、継続的に発信する取組に対して支援を実施した2。また、平成26年度補正予算においても、関係省庁(外務省、経産省、観光庁)とも連携して、地域の魅力を伝える放送コンテンツ等の製作・現地化(字幕付与等)から継続的な発信・プロモーション活動に至るまで、一体的、総合的かつ切れ目なく支援を実施することとしている3

また、放送コンテンツは、関係する権利者が広範にわたるため、海外展開に当たってはその権利者の許諾を円滑に得ることが重要な課題であった。この課題を解決するため関係権利者が協力し、「一般社団法人映像コンテンツ権利処理機構(aRma(アルマ))」が設立され、権利処理窓口の一元化を実現した。また、政府としても、順次権利処理の窓口機能の集約化、システム化を支援しており、aRmaは、平成27年4月から著作権の管理や利用料の分配を事業として開始し、民間での自走化を達成した。

さらに、権利処理の効率化、迅速化の推進のため、放送局と権利者(実演家、原盤権制作者)が協力し、実証実験を実施中である。



1 BEAJ: Broadcast Program Export Association of Japan(http://beaj.jp別ウィンドウで開きます

2 平成25年度補正予算「放送コンテンツ海外展開強化促進モデル事業」:21.0億円

3 平成26年度補正予算「地域経済活性化に資する放送コンテンツ等海外展開支援事業」:16.5億円

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