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第3部 基本データと政策動向
第3節 電波政策の展開

(4)電波の混信・妨害の予防

電波利用が拡大する中で、混信・妨害を排除し良好な電波利用環境を維持していくことはますます重要な課題となってきている。このため総務省では、電波の監視、混信・妨害の排除に加え、それらの原因となり得る機器への対応も強化している9

近年、携帯電話の急速な普及や電波監視の強化などにより、過去に社会問題となった不法三悪と呼ばれる無線局(不法市民ラジオ、不法パーソナル無線及び不法アマチュア無線)による重要無線通信等への混信・妨害が減少する一方で、電波法の技術基準に適合していない無線機器(以下「不適合機器」という。)等による無線通信への混信・妨害が問題となっている(図表8-3-3-1)。

図表8-3-3-1 不法無線局の出現状況
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市場には無線局免許が不要な微弱無線局であると称して販売されている無線機器(FMトランスミッタ、ワイヤレスカメラ等)が大量に流通しているが、その中には、微弱無線局の基準を上回る出力の電波が発射されている不適合機器(図表8-3-3-2)が多数含まれており、これまでも、その使用によって、重要無線通信への混信・妨害が発生している。また、海外からの輸入やネット販売等を通じて入手可能な国内では使用出来ないトランシーバ(FRS:Family Radio Service、GMRS:General Mobile Radio Service)やベビーモニタ―等による同様の混信も発生していることから、このような不適合機器の流通をいかに抑制するかが課題である。

図表8-3-3-2 無線通信に障害を与えた不適合機器の例

このために、これまでにもポスター及びリーフレット等による周知・啓発活動を行うとともに、販売店等に出向き不適合機器の販売について自粛要請等を行ってきたところである。一方で、販売店やインターネット通信販売等においては、製造メーカーの申告により適合しているとした機器のみを販売していることが一般的であるが、消費者や販売店等では、その機器が不適合機器であるか否かを容易に判別することは困難な状況となっていることから、依然として不適合機器が善意の消費者の手に渡り、他の無線局の混信源となる可能性が残されている。

このことから、総務省は、発射する電波が著しく微弱の範囲であるとして販売されている無線設備を購入して、電波の強さが電波法に定める範囲に適合しているかどうかの測定を行い、その結果を公表10する「無線設備試買テスト」の取組を平成25年度から実施している。また、公表と併せて、当該設備の製造業者、販売業者又は輸入業者に対し、電波法で定める技術基準の適合への改善を要請している。これにより、業者を指導し、消費者に注意喚起することで、不適合機器の流通が抑制され、混信・妨害の予防につながるものである。

この他にも、携帯電話事業者以外の者によって不法に設置されている携帯電話中継装置が、携帯電話基地局等からの電波を妨害する事例が発生しているが、これらの中継装置は「無線局の免許がいらない」と称して販売されていることから、一般の方がそれと知らずに設置し妨害の原因となっている。このような装置を原因とする障害の拡大を防止するため、販売者が販売する前に「設置には免許が必要」である旨告知すること(免許情報告知制度)を義務付けている(携帯電話事業者以外は、携帯電話中継装置を設置できない)11

さらに、無線局が他の無線局の運用を著しく阻害するような混信その他の妨害を与えた場合には、製造業者・販売取扱業者等に対して報告を徴収し、その事態を除去するために必要な措置をとることについて勧告・公表を行うことができる制度の活用についても検討を進めることとしている。

この他、LED照明等の電気機器、電子機器や放送受信ブースタ等から発射又は漏洩する電波による無線局への障害も引き続き発生していることから有害な漏洩電波を効率的に除去するための調査に取り組んでいる。



9 総務省電波利用ホームページ 電波監視の概要:http://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/monitoring/index.htm別ウィンドウで開きます

10 無線設備試買テストの結果:http://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/monitoring/illegal/result/別ウィンドウで開きます

11 免許情報告知制度は、不法市民ラジオ、不法パーソナル無線、不法アマチュア無線及び不法携帯電話中継装置に使用されるおそれの高い無線設備を対象としている。

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