総務省トップ > 政策 > 白書 > 27年版 > ローカルコンテンツの配信による訪日外国人観光客の誘致(北海道テレビ放送)
第2部 ICT が拓く未来社会
第3節 地域の課題とICT

(1)ローカルコンテンツの配信による訪日外国人観光客の誘致(北海道テレビ放送)

海外からの交流人口を拡大するためには、まず訪日してもらうきっかけづくりが必要となる。きっかけづくりの一つとして、海外のメディアなどを通じて日本の観光地をアピールし、認知度を向上させるアプローチがある。

北海道テレビ放送では、1997年から2003年にかけて、北海道の各市町村を紹介する1時間の番組「北海道アワー」を制作し、台湾の衛星放送局JET TV(Japan Entertainment Television)を通じて放送した。再放送も含めて延べ3,000時間以上を放送した。同番組は、台湾の他、香港、シンガポール、マレーシアなどの周辺諸国でも放送された。

放送開始当初は5万人程度だった台湾から北海道への観光客は、2年間で約12万人に急増し、更に15年後の2014年には約46万人にまで増加した。新千歳空港において実施した外国人観光客へのアンケート調査2では「JET TVでの放送が北海道へ行く契機になった」との回答が約8割に達し、「北海道アワー」放送の効果がいかに大きかったかがわかる。1998年1月に台湾から北海道へのチャーター便が多く飛び始めたことで、さらに番組の観光客誘致効果が高まった。

「北海道アワー」は制作終了後も現地で再放送が続けられたが、北海道テレビ放送では「北海道アワー」の制作の経験も踏まえ、継続的に海外への番組の発信をするため、2013年から新番組「LOVE HOKKAIDO」の制作を開始した。「LOVE HOKKAIDO」は北海道の“愛あふれる人・モノ・コト”に注目し、中国出身及びカナダ出身の2人の外国人MCが、彼らの目線で地域の人・モノ・コトを紹介する番組である(図表3-3-1-2)。

図表3-3-1-2 「LOVE HOKKAIDO」の放送場面
(出典)北海道テレビ放送提供資料

「LOVE HOKKAIDO」の放送は2013年2月に日本で開始され、2013年3月シンガポール、2013年6月上海、2013年8月台湾、2014年2月ベトナム、2014年7月カンボジア、2014年10月米国・ハワイ州、2014年11月インドネシアと広がってきた。2015年4月から中国(インターネット放送)、2015年5月からタイでの放送が開始されており、視聴可能人口は総計で3億人3となる見込みである(図表3-3-1-3)。

図表3-3-1-3 「LOVE HOKKAIDO」の放送対象地域の広がり
(出典)北海道テレビ放送提供資料

「北海道アワー」の制作を通じて得られた教訓の一つは、海外の視聴者は、北海道のきれいな風景だけでなく、ふだんの暮らしぶりも見たいということだった。このため、「LOVE HOKKAIDO」の制作に当たっては、北海道ビギナー向けの「王道」(例:小樽運河、富良野のラベンダー)と、インターネットにも出ていないエッジの立った情報(例:地域の人にしか知られていない洋菓子店の地元名物商品)の両方をバランス良く取り上げている。

海外では一般に、テレビのチャンネル数が日本に比べて多いため、視聴者にどのようにリーチするか、が課題となる。このため北海道テレビ放送では、Facebookや、中国で広く普及しているWeibo、WeChatといったソーシャルメディアも活用して、「LOVE HOKKAIDO」についての情報発信を積極的に行っている。MCが中国語と英語のネイティブであるというメリットを生かし、取材時に上述したソーシャルメディアを通じて中国語や英語での情報発信をしており、放送後の海外の視聴者からの問合せに対してもソーシャルメディアを通じて直接やり取りをしている。その結果、日本語では伝えきれないニュアンスを伝えることに成功している。

今後、北海道テレビ放送では、「LOVE HOKKAIDO」をプラットフォームとして活用し、観光客の誘致だけでなく、地域産品の物販などの地域経済に貢献できる取組を各国のパートナーや北海道内のパートナーと協力して進めることを目指している。



2 北海道庁、道内市町村、経済団体等が参画した官民連携団体「東アジアメディアプロモーション北海道推進協議会」が実施。

3 インターネット放送は除いた概数。

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