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第3部 基本データと政策動向
第3節 電波政策の展開

(2)高度道路交通システムの推進

総務省は、人やモノの安全で快適な移動の実現に向けて、情報通信技術を用いて「人」、「道路」及び「車両」などをつなぐ高度道路交通システム(ITS: Intelligent Transport Systems)により、交通事故削減や渋滞解消等のための取組を進めている。これまで、VICS(Vehicle Information and Communication System: 道路交通情報通信システム)やETC(Electronic Toll Collection System: 自動料金収受システム)、ITSスポット等で利用される周波数の割当てや技術基準等の策定を行うとともに、これらシステムの普及促進を図ってきた。

具体的には、地上テレビジョン放送のデジタル化により空き周波数となった700MHz帯の一部を車車間通信・路車間通信による安全運転支援システムに割り当て、その技術基準等の整備を行い、平成25年4月から全国で利用可能とするとともに、79GHz帯を用いて歩行者等の小さな物体を検知することができる障害物検知レーダー(79GHz帯高分解能レーダー)の技術基準等の整備を平成24年12月に行い、こちらも利用可能とした。

最近の取組としては、平成26年度から700MHz帯を活用した安全運転支援システムの早期実用化に必要な検討課題の抽出・検証を行い、実用アプリケーションが十分機能できるよう通信の信頼性や相互接続性、セキュリティ機能の確立を目的とした実証実験を実施している。また、700MHz帯を活用した安全運転支援システムにおける情報セキュリティについて、より専門的な観点から助言を得ることを目的として、平成26年2月から『情報セキュリティアドバイザリーボードITSセキュリティ検討グループ 』を開催しており、平成26年6月には、車車間・路車間通信のセキュリティ及び安全運転支援システムのセキュリティ管理に関する基本方針と機能要件を「700MHz帯安全運転支援システムのセキュリティ要求事項」として取りまとめた。

また、内閣府総合科学技術会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)においても、総務省は、府省横断の取組として、公道での実証を通じ、車車間・路車間・歩車間通信でやりとりする情報やインフラレーダーで収集する情報等を組み合わせたシステムを開発するなど、ICTを活用した高度な自動走行システムを実現するための事業を実施している。

平成26年9月には、世界のITS関係者が一堂に会するITS世界会議がデトロイト(米国)で開催された。会議は、ITSに関する展示やデモ、プレゼンテーション等を通じて、ITSの普及促進やビジネス機会の創出等を図ることを目的としており、我が国政府代表として総務省が参加し、我が国では700MHz帯の電波による協調型ITSが2015年にも実用化予定であることなどを紹介するとともに、各国のITS担当省庁等の幹部が出席する「ハイレベル政策ラウンドテーブル」では、我が国におけるSIPでの「自動走行システム」の実現に向けた取組を説明した。

今後も関係省庁とも連携してITSを推進し、交通事故の削減や渋滞の解消等を進めるとともに、運転支援や自動走行システムのための環境整備を行うことで、人やモノが安全で快適に移動できる社会の実現を目指す。

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