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第2部 ICTが拓く未来社会
第2節 ICT産業のグローバルトレンド

(2)我が国ICT産業の動向

我が国の国内ICTサービス市場においては、当面は、マイナンバー関連投資や大手金融機関のシステム関連投資により堅調な国内需要が予想されている。しかしながら、中長期的にみた場合、国内市場の成長は鈍化すると考えられることから、各社とも高い成長率を持つ海外市場への進出(現地法人設立及びM&A)している状況である(図表5-2-4-7)。ここでは、主要事業者によるICTサービス市場における取り組み状況について紹介する。

図表5-2-4-7 ICTサービスに係る我が国企業の近年のM&A事例
(出典)総務省「グローバルICT産業の構造変化及び将来展望等に関する調査研究」(平成27年)
ア NTTグループ

NTTグループは、新たなステージを目指して、「クラウドサービスの強化」と「グローバル展開の加速」に取り組んでいる。2012年秋に発表した「中期経営戦略」では、グローバル・クラウドサービスを海外事業の基軸に据え、中期財務目標として、2016年度の海外売上高を2兆円、法人売上高の海外比率を50%以上とする目標を掲げている。具体的な取り組みとしては、ICTサービス関連海外企業の買収を続けており、買収した企業が主体となってグローバル展開を加速している。同社が買収を拡大している理由としては、各地域における顧客獲得などの早期の事業強化や、買収した企業におけるノウハウの取り込みによる競争力の向上等が挙げられる。また、グループ内各社の弱点の補強という位置づけもあり、傘下企業における統制や、企業間連携による相乗効果の発揮が期待される。

イ KDDIグループ

KDDIでは、海外を中心にデータセンターを手掛ける「Telehouse」事業に注力している。海外13か国/地域・24都市・46拠点以上 (日本のデータセンター含む)で展開しており、現地企業と提携して面展開を進めている。ユーザーは日系企業にとどまらず、多数の現地企業にも利用されているグローバルブランドである。2014年7月には欧州現地法人「Telehouse Europe」が約1億3,500万ポンド(約240億円)を投資し、英ロンドン市内に大規模なデータセンターを新たに建設することを発表している。

こうした取り組みにより、中国や北米のデータセンター事業で顧客獲得が進み、採算が向上しており、KDDIの海外収益が拡大している。2015年3月期連結の海外事業は、営業収益が3,206億円(前期比21.6%)、営業利益は168億円(前期比47.3%)と大幅に増加した。

ウ 富士通

富士通は、ITシステムのコンサルティング、構築などを行うソリューション/SIと、アウトソーシングなどを中心とするインフラサービスを提供している。グローバル展開においては、特にアウトソーシングにおいて、日本及び欧州を中心に世界16か国、約100拠点にデータセンターを配し、グローバル共通の標準化されたクラウドサービス基盤(IaaS、PaaS、SaaS 等)を、日本、オーストラリア、 シンガポール、米国、英国、ドイツに展開している。日系企業のグローバル化にともない、米国現地法人と日本本社をつなぐ需要の拡大等を背景に、米国においては、2014年5月に新たに東西両岸にデータセンターを2拠点開設し、アウトソーシングサービスおよびプライベートクラウド(ホステッド)サービスの提供を開始するなど、グローバルのサービス拠点や体制の強化を続けている。

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