総務省トップ > 政策 > 白書 > 27年版 > 情報収集活動におけるICT利活用の進展
第1部 ICTの進化を振り返る
第1節 生活の隅々へのICT利活用の浸透

1 個人の日常生活におけるICT利活用の進展

(1)情報収集活動におけるICT利活用の進展

第1章でみたように、1993年に我が国での商業利用が始まったインターネットは、主に2000年代以降、家庭へも急速に普及し、私たちの日常生活の在り方を様々な形で変えていった。その一つとして、情報源としてのインターネットの定着を挙げることができる。かつて世の中の出来事を知るための情報源は、テレビやラジオ、新聞や雑誌等に限られていたが、今やインターネットは代表的な情報源の一つとなっている。実際、東京大学の橋元良明教授を中心としたグループが1995年以降数年おきに実施している調査によると、「いち早く世の中のできごとや動きを知る」ため最もよく利用するメディアとしてインターネットを挙げる人の割合は、2000年には全体の1.7%に過ぎなかったが、2005年には8.2%、2012年には約3割にまで増加している。また、「世の中のできごとや動きについて信頼できる情報を得る」ため最もよく利用するメディアとしてインターネットを挙げる人の割合も、2000年には全体の0.4%に過ぎなかったが、2005年には3.7%、2012年には14.7%にまで増加している(図表2-1-1-1)。

図表2-1-1-1 最も頻繁に利用するメディアの推移(目的別)
(出典)東京大学大学院情報学環橋元良明研究室「日本人の情報行動」2000年調査、2005年調査
東京大学大学院情報学環橋元良明研究室・総務省情報通信政策研究所「2012年 日本人の情報行動」より作成

インターネットの急速な普及に伴い、紙媒体からネット媒体への情報源のシフトという現象が様々な場面で見られるようになっている。たとえば、かつて地図といえば紙の地図に限られていたが、近年ではむしろインターネットで地図を見ることが一般的になっている。実際、大手地図情報会社ゼンリンが行った調査によると、2015年時点で、「PC用地図」の利用率は約7割、「スマートフォン用地図」の利用率は約4割となっており、「紙地図」の利用率(約3割)を上回っている。経年変化をみると、スマートフォン用地図の伸びが目立つ(図表2-1-1-2)。

図表2-1-1-2 インターネット地図の利用拡大
(出典)株式会社ゼンリン 「地図利用実態調査2015」より作成

インターネットは、消費行動の情報源としても定着してきた。とりわけ、消費者がレストランなどの飲食店を選ぶ際の情報源として、インターネットは早くから活用されている。公益財団法人東京都生活衛生営業指導センターが2003年に実施した郵送アンケートによると、「ぐるなび」1等の飲食店情報サイトの利用率は、同年の時点で既に約2割に達している(図表2-1-1-3)。また、民間調査会社マイボイスコムが2010年以降毎年実施しているウェブアンケート調査によると、飲食店情報を調べる際の情報源として「PCのインターネットサイト」を利用すると回答した人は2010年時点で9割強に達し、「フリーペーパーやグルメ雑誌等の紙媒体」を利用すると回答した人(約6割)を大きく上回っている。経年変化をみると、最近は「スマートフォンのインターネットサイト」の利用率が増加傾向にある(図表2-1-1-4)。

図表2-1-1-3 飲食店情報サイトの利用経験(2003年)
(出典)公益財団法人東京都生活衛生営業指導センター「平成14年度 消費者モニター等事業調査報告書」(2003年)を元に作成
図表2-1-1-4 飲食店の情報を調べる際の情報源の変化
(出典)マイボイスコム調べ2

インターネットは、就職活動の際の情報源としても定着している。かつて、就職を希望する学生は、学校への求人票や企業から送られてくる採用案内パンフレット、民間情報会社が発行する紙媒体の就職情報誌等を情報源として就職活動を行っていたが、90年代後半に「リクナビ」3等の就職情報サイトが登場すると、急速にその利用が広まった。現在では、求人情報の入手だけでなく、エントリーシートの提出や会社説明会の予約等も就職情報サイト経由で行うことが一般化している。公益財団法人日本生産性本部が2001年に新入社員を対象として行ったアンケート調査によると、就職活動の情報源として「インターネットの就職関連サイト」を挙げた人は同年時点で既に7割強に達している。2013年に行われた同様の調査と比較すると、「インターネットの就職関連サイト」を挙げた人は約1割増加し、反対に「民間情報会社が発行する就職情報誌」を挙げた人は約1割低下している(図表2-1-1-5)。

図表2-1-1-5 新入社員における就職活動の利用情報源の変化
(出典)公益財団法人日本生産性本部「新入社員 働くことの意識」2001年版、2013年版より作成


1 飲食店情報サイト「ぐるなび」は1996年にサービスを開始した。

2 複数回答可。2010年調査では「スマートフォンのインターネット」サイトは設問にない。2010〜2013年調査の結果は、2014年調査の性年代構成にあわせてウェイトバックした値。

3 就職情報サイト「リクナビ」は1997年に開設された。

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