第3部 基本データと政策動向
第4節 放送政策の展開

(1)4K・8K

4K放送については2014年(平成26年)に、8K放送については2016年(平成28年)に、それぞれ試験的な放送を開始することを目指すロードマップが示された。このロードマップに沿い、平成25年5月に放送事業者、受信機メーカー、通信事業者等関係事業者により「次世代放送推進フォーラム」が設立され、同フォーラムが中心となり、4K・8Kの放送サービスの早期開始に向けて、伝送技術の検証やコンテンツ制作技術の検討等を連携して進めている。総務省においては、ロードマップ策定以降の状況変化を踏まえて、ロードマップのさらなる具体化、加速化及び課題解決のための具体的方策の検討を進めることを目的として、平成26年2月から「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合5」を開催しており、同年9月に中間報告(新たなロードマップ)を公表した。新たなロードマップでは、2015年(平成27年)にCS・ケーブルテレビ・IPTV等による4K実用放送開始、2016年(平成28年)にBS放送による4K・8K試験放送開始、2018年(平成30年)までの可能な限り早期にBS等による実用放送開始を目標としており、これに沿って、平成27年3月からCSによる4K実用放送が開始されるなど、4K・8K放送の普及は着実に進展している。

同中間報告は、放送分野における4K・8Kの推進とともに、産業全体における4K・8Kの利活用の可能性についても検討するとしていることから、美術分野における4K・8K利活用の事例を海外で具体的に示すことを目的として、平成27年2月から3月までの間、世界有数の美術館である米国フィラデルフィア美術館において8Kによる演出を行った。

4K・8Kに対応した超高精細度テレビジョン放送(UHDTV)の実用化、普及促進等を図るため、より効率的な伝送を可能とする最新技術の導入等、必要な技術的条件を取りまとめることを目的に、平成25年5月に情報通信審議会放送システム委員会において検討が開始され、現時点で円滑なサービス導入が可能と考えられる技術等について検討された結果、総務省は平成26年3月、情報通信審議会より「放送システムに関する技術的条件」の「超高精細度テレビジョン放送システムに関する技術的条件」のうち「衛星基幹放送及び衛星一般放送に関する技術的条件」について一部答申を受けた。またケーブルテレビにおいても、UHDTVを実施するために必要な技術的条件を取りまとめることを目的に、平成26年8月に情報通信審議会放送システム委員会において検討が開始され、平成26年12月に、情報通信審議会より「ケーブルテレビシステムの技術的条件」のうち「ケーブルテレビにおける超高精細度テレビジョン放送の導入に関する技術的条件」について一部答申を受けた。当該一部答申を踏まえ、平成27年2月に電波監理審議会における改正省令案の諮問・答申を経て、平成27年3月に関係する省令・告示を改正した。

さらに、2020年頃の8Kの実用化に向けた放送の規格化や放送機器の開発に関して、無線システムを使った放送素材伝送を行う放送事業用無線局(FPU)の開発は、機動性や回線設定の柔軟性の確保のため喫緊の課題となっている。そのため、総務省では、十分な伝送容量を確保できる120GHz帯の周波数帯を使用した無線システムの導入について、平成25年12月に電波監理審議会における改正省令案の諮問・答申を経て、平成26年1月に省令を改正した。



5 4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/4k8kroadmap/index.html別ウィンドウで開きます

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