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第2部 ICT が拓く未来社会
第2節 地域の雇用とICT

(2)我が国における情報化投資が雇用に与えた影響

ICTが我が国の雇用者数に与えた影響をマクロの視点で確認する。1980年から2013年までのデータを用いて日本の労働力需要関数及び生産関数を推定し、そのパラメータを用いて、我が国の2005年から2013年までの情報資本が雇用に与える代替効果と創出効果を試算した4

図表3-2-1-2において、日本の雇用者数の推移を確認すると、2005年から2013年までに161万人増加している。そのうち、労働に対するコストより情報資本に対するコストが相対的に低下することによって、代替された雇用者数は149万人である。一方で、情報資本が実質GDPを押し上げることで増加した雇用は55万人である(図表3-2-1-3)。

図表3-2-1-2 日本の雇用者数の推移
(出典)総務省「ICTによる地域雇用創出に向けた課題と解決方策に関する調査研究」(平成27年)
「図表3-2-1-2 日本の雇用者数の推移」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら
図表3-2-1-3 情報化投資の雇用に与える効果の推定値
(出典)総務省「ICTによる地域雇用創出に向けた課題と解決方策に関する調査研究」(平成27年)

情報資本が、日本の労働生産性を高め労働力を代替する一方で、情報資本が実質GDPに寄与して雇用を増加させる効果は、代替効果の37%の大きさにとどまっている。

ただし、このモデルでは、ICTが資本や労働以外の成長要因となる全要素生産性を向上させて成長に寄与する経路は考慮されていないため、ICTによる雇用創出効果は、部分的にしか捉えられていない。また、1のウで述べたICTを供給する側の産業の成長による雇用創出効果も考慮されていない。こうした経路も加味した総合的な雇用創出効果については、4と5において検討する。



4 経済企画庁「平成11年版経済白書」で用いられた手法で試算を行った。①労働力需要関数及び②生産関数の推定結果を以下に示す。推定期間は、1980年から2013年である。

 ①労働力需要関数:ln(L)=3.235-0.029ln(W/ri)+0.418ln(Y) 補正決定係数:0.97 D.W.:0.795 ( )内t値
                  (14.2) (−9.4) (22.8)
 ②生産関数:ln(Y/L)=2.601+0.299ln(Ko/L)+0.151ln(Ki/L) 補正決定係数:0.97 D.W.:0.773 ( )内t値
                  (14.1) (5.09) (2.94)
 ここで、Lは雇用者数(労働時間調整後)、wは労働コスト指数、riは情報資本コスト(情報資本デフレータ×長期金利)、Yは実質GDP、Koは一般資本ストック(稼働率調整後)、Kiは情報資本ストック(稼働率調整後)である。
 ①式により、労働コストと比べた相対的な情報資本コストの低下に伴い代替される雇用者数と実質GDPの上昇に伴い増加する雇用者数を計算した。また、②式により、情報資本ストックの増加に伴う実質GDPの押し上げ効果を計算し、これに伴い増加する雇用者数を①に入れ込み計算した。

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