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第2部 ICTが拓く未来社会
第2節 ICT産業のグローバルトレンド

(2)我が国ICT産業の動向

我が国では、モバイルゲームなどを中心に、スマートフォン向けコンテンツ市場が拡大してきたところである。一方で、国内ゲームプラットフォーム事業者の海外展開にみられるように、今後の成長の軸を海外のコンテンツ・アプリケーション市場に求める取り組みも注目されるところである。特に、上位レイヤーにおいては、B2C市場において利用者をより多く獲得して規模の拡大を図るとともに、その規模をいかに活かして収益化(マネタイズ)を図っていくかが各事業者の課題となっている。

ここでは、こうした取り組みに係る事例としてLINE及びガンホー・オンライン・エンターテイメントについて取り上げる。

ア LINE

近年、SNSの人気とともに急速に普及と利用が進んでいる、スマートフォンでメッセージをやりとりするいわゆるメッセンジャーアプリは、普及とともに主要なアプリ間で利用者数の獲得競争へと発展している(図表5-2-3-7)。日本で急速に人気を得たメッセンジャーアプリLINEは、2014年10月に世界全体の登録者数が5億6千万人に達するなど海外展開を積極的に進めている。サービス開始から3年余りで5億人を突破したのは、SNS世界最大手の米Facebookを上回るペースとなっている。

図表5-2-3-7 諸外国の主なメッセンジャーアプリ(2014年7月時点)
(出典)総務省「グローバルICT産業の構造変化及び将来展望等に関する調査研究」(平成27年)

現在、欧州や北南米にも多くのユーザーが存在するが、特にアジアを中心に成長を続けている。また、同社はサービス開始後に、様々な新しい機能やサービスを開始し、ゲームなどを含む同社が提供する全てのアプリのダウンロード数は累積で10億を突破したところである。またLINEは広告媒体としてのビジネスも、特に利用が盛んなアジア各国を中心に広げている(図表5-2-3-8)。

図表5-2-3-8 LINE誕生後の軌跡
(出典)LINE報道記事より作成
イ ガンホー・オンライン・エンターテイメント

モバイル向けゲーム事業で国内外に展開しているガンホー・オンライン・エンターテイメント(以下、ガンホ―)は、米国、韓国に子会社を有し、2014年9月にはアジア太平洋地域における事業強化のため、シンガポールに子会社を設置した。同社の代表的ゲームである「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)は33の国と地域で配信している(図表5-2-3-9)。同社は、従来からオンラインゲームが楽しまれ、さらにスマートフォンの普及とともにスマートフォンゲーム市場も成長の兆しを見せている新興国市場に注目し、グローバルビリングサービス大手の米国PlayPhone社を子会社化することを2014年10月に発表した。Playphoneは、世界中の大手通信事業者向けにスマートフォンゲームのグローバルビリング(決済)サービスを提供し、東南アジアをはじめ、中東、ラテンアメリカなど新興国市場を含む10か国、11の通信事業者にサービスを展開するとともに、ゲームデベロッパー向けにソフトウェア開発キットを無償で提供している。このように、ガンホーは新興国市場の成長性を取りこむとともに、決済に係るプラットフォーム事業へと進出を図っている。

図表5-2-3-9 ガンホー・エンターテイメント(パズル&ドラゴンズ)の海外展開の動向
(出典)ガンホー・オンライン・エンターテイメント報道発表資料より作成
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