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第3部 基本データと政策動向
第7節 ICT研究開発の推進

6 その他の研究開発

(1)ユニバーサル・コミュニケーション基盤技術

NICTでは、真に人との親和性の高いコミュニケーション技術を創造し、国民生活の利便性の向上や豊かで安心な社会の構築等に貢献するため、次の技術の研究開発を推進している。

ア 多言語コミュニケーション技術

多言語コミュニケーション技術とは、日本語と複数の他の言語との間で、自動的に音声翻訳するために必要な技術である。平成26年度は、長文翻訳技術の商用化が評価され第9回AAMT(アジア太平洋機械翻訳協会)長尾賞を受賞するとともに、引き続き長文翻訳の精度を改善。医療音声翻訳については、翻訳性能を大幅に向上し、倫理審査を経て病院での臨床実験を開始。音声認識用音響モデルを最新のディープニューラルネット(DNN:多層の神経回路網モデル)に変更し、日英中韓の単語誤り率を30%程度改善した。また、グローバルコミュニケーション計画の実現に向けて、英中韓を中心に計640時間の音声コーパスを調達した。

イ コンテンツ・サービス基盤技術

コンテンツ・サービス基盤技術とは、インターネット上のビッグデータから価値のあるものを発見し、その有効活用を可能とする技術である。平成26年度については、10億件のWebページを情報源とし、「どうなる?」「なぜ?」といった様々な質問に回答する大規模Web情報分析システム「WISDOM X」(http://wisdom-nict.jp/別ウィンドウで開きます)を一般にむけて試験公開した。さらに、気象等のセンサーデータとSNS等のソーシャルデータの相関分析に基づき分野横断的な複合イベントを発見・予測する技術を研究開発し、環境問題対策等への応用に着手した。

ウ 超臨場感コミュニケーション技術

超臨場感コミュニケーション技術とは、真にリアルで、人間に優しく、心を豊かにする意思伝達を可能とするための、三次元映像・立体音響・五感情報伝達を一体的に実現する技術である。平成26年度については、200インチ裸眼立体ディスプレイを用い、多視点立体映像圧縮符号化の新たな情報低減方式について実証実験を行い、単純に各映像を並送した場合に比べて2 倍の圧縮効率を実現できることをテスト映像で確認した。また、電子ホログラフィ技術の確立に向けて表示装置の改良を継続した。このほか、未成年者を対象とした3D映像の疲労評価実験の結果に関する寄与文書を国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)に提出し、レポートにその内容が反映された。

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