第1部 東日本大震災における情報通信の状況
第1節 通信等の状況

(2)通信輻そうの発生


●広範囲で通信の輻そうが発生

 災害時等に通信が集中し通信ネットワークの処理能力をオーバーする輻そう状態が発生した場合、大規模な通信障害に発展することを防止するため、通信事業者は通信規制を行うことがある。今回の地震においては、地震の影響による交通機関の混乱等もあり通信が集中したことから、比較的長期間にわたり、広範囲で通話の輻そうが発生した(図表1-9)。

図表1-9 災害時の電話の輻そうについて
図表1-9 災害時の電話の輻そうについて
(出典)日本電信電話株式会社資料
http://www.ntt.co.jp/saitai/sumi_html01.html

 携帯電話の音声通話については、NTTドコモで通常の50〜60倍のトラヒックが発生するなど、トラヒックが大幅に増加したため、最大でNTTドコモが90%、KDDIが95%、ソフトバンクが70%の通信規制を実施した。他方、メール(パケット)は、一時、NTTドコモが30%の規制を実施したが、すぐに規制が解除され、他社では、規制を実施しなかった。また、固定電話については、NTT東日本の例では、携帯電話ほどのトラヒックの増加は発生しなかったため、通信規制は比較的早い段階で解除された(図表1-10)。

図表1-10 東日本大震災における通信の輻そう状況
図表1-10 東日本大震災における通信の輻そう状況
総務省資料により作成

●携帯電話輻そう時の回線交換・パケットの独立制御

 携帯電話事業者によっては、音声とパケットを独立して制御したり、音声とパケットを別々のネットワークとするなど、災害時等におけるパケット通信の疎通を向上できる機能を導入している。今回の震災においても、各事業者において、この機能が活かされ、最大95%程度の発信規制がなされた回線交換と比べると、メール等のパケット通信の方が疎通しやすい結果となった。
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