第3部 情報通信の現況と政策動向
第5章 情報通信政策の動向

(8)安全・安心なネット環境の整備


ア 国際連携によるサイバー攻撃予知・即応技術の研究開発
 昨今、国境を越えたサイバー攻撃により、世界各国で政府や、金融機関、有名企業のウェブサイト等の情報通信システムが被害に遭い、サービス停止に追い込まれる事態が多数発生している。メール、ウェブサイト閲覧、ネットショッピング、オンラインバンキング等の普及により、インターネットは今や国民の生活や経済活動にとって、欠かすことのできない重要なインフラとなっていることに加え、サイバー攻撃を引き起こすマルウェアの多様化・複雑化が相まって、サイバー攻撃は、非常に大きな脅威となっている。
 このサイバー攻撃の脅威に対抗して、総務省では、平成23年度からサイバー攻撃に関する様々な情報を高度に解析し、サイバー攻撃の正確な現状把握及びその将来動向予測を行う技術の開発を実施している。また、国内外の関係機関と連携の上、本開発技術を用いることにより、世界各地で発生しているサイバー攻撃の情報をリアルタイムに収集・解析し、その脅威が国内に及ぶ前に防御態勢を整えることが可能な体制構築を目指す。

イ クラウド対応型セキュリティ技術の研究開発
 近年、仮想化技術を活用したサーバー環境の大規模化・集約化(クラウド等)が各国で進展しており、巨大なインフラに成長しつつある。これらの環境での情報資産の保存・処理等のICT利活用が拡大しているが、一方で情報漏えい等の情報セキュリティ上の課題を抱えている。そのため、総務省では、平成22年度から大規模仮想化サーバー環境における新たな情報セキュリティ対策技術に関する研究開発を実施した。
 平成22年度は、プライバシー保護型処理技術、セキュリティレベル可視化技術について、個別に要素技術の研究開発(基本・詳細設計)を行うとともに、各要素技術間のインタフェースの検討、総合実験モデルの検討、要素技術の一部実装と単体評価を実施した。
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