第2部 特集 共生型ネット社会の実現に向けて
第2章 浮かび上がる課題への対応

(3)情報活用能力、安全性の理解及び不安感の関係の分析


●60代、70代以上については、情報活用能力、安全性の理解ともに相対的に低く、不安感が高い

 年代別に、「情報活用能力」、「安全性の理解」及び「インターネット利用全般の不安感」の関係を明らかにするために、それら3要素のマッピング4を行ったのが、図表2-1-1-11である。このマッピングでは、横軸が「安全性の理解」得点、縦軸が「情報活用能力」得点を表している。なお、球の大きさは、インターネット利用全般の不安感について表しており、大きいものほど不安感が大きいことを表している。全般的には、情報活用能力、安全性理解ともに高くなるほど、不安も低い傾向がみられる。特に、60代、70代以上は、情報活用能力や安全性の理解がその他の年代と比較して低く、不安が高いことがわかる。

図表2-1-1-11 属性別の情報活用能力、安全性の理解及び不安感の分析(年代別)
図表2-1-1-11 属性別の情報活用能力、安全性の理解及び不安感の分析(年代別)
60代、70代以上は情報活用能力、安全性の理解が相対的に低く不安が高い
(出典)総務省「ICT利活用社会における安心・安全等に関する調査」(平成23年)

●情報活用能力、安全性の理解の促進を通じた、ICT利活用の不安払拭が重要

 ICTの利活用の不安に関しては、自身の情報活用能力を高めることで、不安が低下する傾向が明らかになった。加えて、情報活用能力が低い者においては、ICTにかかわる安全性を理解することでも、ICTの利用の不安が低下する様子が明らかとなった。このことから、ICT利活用の際の不安を払しょくするためには、情報活用能力を高めるとともに、安全性の理解を促すことが重要な取組となると考えられる。
 60代、70代以上の人は、社会にICTが浸透する以前に、長い間、働き、生活してきた世代である。そのため、新たにICTを活用することに対して不安を感じる世代であるともいえる。しかしながら、今後、社会インフラ等のサービスを利用する際には、ICTを活用する方が高い便益が得られる場面も想定される。そのような状況にかんがみ、これら60代、70代以上の人たちの情報活用能力を向上させ、安全性の理解を促進し、ICTの利活用に対する不安を緩和しておくことが重要な課題となると考えられる。


4 類型化の方法は、付注3参照
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