第2部 特集 共生型ネット社会の実現に向けて
第2章 浮かび上がる課題への対応

(1)インターネットといじめ


●ネットいじめと学校でのいじめの現状

 1か月以内におけるネットいじめの加害行動経験、被害経験及び、学校でのいじめの加害行動経験、被害経験についてのアンケートを年齢毎に実施した7。加害行動経験についてはネットいじめで10項目、学校でのいじめで12項目、被害経験についてはネットいじめで20項目、学校でのいじめで21項目について聞き、その結果のうち上位5件ずつを取りあげた。
 まず、小学生に対していじめの加害行動経験(1か月以内にいじめに関連した行動をしたか)についてみてみると、ネットいじめの加害行動経験は全体的に非常に少なかった。その中で最も多いものは「同じ学校の一人にだけメールを送らなかった」の0.5%に対し、学校でのいじめの加害行動経験では「同じ学校の人をからかった」の18.7%であった(図表2-1-3-1)。

図表2-1-3-1 ネットいじめの加害行動経験と学校でのいじめの加害行動経験(小学生:上位5件)
図表2-1-3-1 ネットいじめの加害行動経験と学校でのいじめの加害行動経験(小学生:上位5件)
最も多いのはネットでは「同じ学校の一人にだけメールを送らなかった」の0.5%、学校では「同じ学校の人をからかった」の18.7%
(出典)鈴木佳苗・坂元章「インターネット利用といじめの関係性に関する研究」(平成23年)
(総務省・安心ネットづくり促進協議会「インターネット上の有害情報による青少年等の社会性への影響に関する調査研究」(平成23年)より)

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 これに対して小学生のいじめの被害経験(1か月以内にいじめに関連した行動をされたか)についてみると、ネットいじめの被害経験で最も多いものは「自分のネット上での発言にだけは、だれも何の反応もしてくれなかった」の1.3%だったのに対し、学校でのいじめの被害経験は「多くの人から腹が立つことを言われた」の34.5%であった(図表2-1-3-2)。

図表2-1-3-2 ネットいじめの被害経験と学校でのいじめの被害経験(小学生:上位5件)
図表2-1-3-2 ネットいじめの被害経験と学校でのいじめの被害経験(小学生:上位5件)
最も多いのはネットでは「自分のネット上での発言にだけは、だれも何の反応もしてくれなかった」の1.3%、学校では「多くの人から腹が立つことを言われた」の34.5%
(出典)鈴木佳苗・坂元章「インターネット利用といじめの関係性に関する研究」(平成23年)
(総務省・安心ネットづくり促進協議会「インターネット上の有害情報による青少年等の社会性への影響に関する調査研究」(平成23年)より)

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 中学生について同様に調査したところ、ネットいじめの加害行動経験で最も多いものは「メール(パソコンや携帯電話)で、同じ学校の人に悪口を送信した」の2.5%に対し、学校でのいじめの加害行動経験は「同じ学校の人をからかった」の28.4%であった(図表2-1-3-3)。

図表2-1-3-3 ネットいじめの加害行動経験と学校でのいじめの加害行動経験(中学生:上位5件)
図表2-1-3-3 ネットいじめの加害行動経験と学校でのいじめの加害行動経験(中学生:上位5件)
最も多いのはネットでは「メールで、同じ学校の人に悪口を送信した」の2.5%、学校では「同じ学校の人をからかった」の28.4%
(出典)鈴木佳苗・坂元章「インターネット利用といじめの関係性に関する研究」(平成23年)
(総務省・安心ネットづくり促進協議会「インターネット上の有害情報による青少年等の社会性への影響に関する調査研究」(平成23年)より)

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 これに対して中学生のいじめの被害経験についてみると、ネットいじめの被害経験で最も多いものは「ネット上で、からかわれた」の1.9%に対し、学校でのいじめの被害経験は「知っている人たちから悪口を言われた」の30.4%であった(図表2-1-3-4)。

図表2-1-3-4 ネットいじめの被害経験と学校でのいじめの被害経験(中学生:上位5件)
図表2-1-3-4 ネットいじめの被害経験と学校でのいじめの被害経験(中学生:上位5件)
最も多いのはネットでは「ネット上でからかわれた」の1.9%、学校では「知っている人たちから悪口を言われた」の30.4%
(出典)鈴木佳苗・坂元章「インターネット利用といじめの関係性に関する研究」(平成23年)
(総務省・安心ネットづくり促進協議会「インターネット上の有害情報による青少年等の社会性への影響に関する調査研究」(平成23年)より)

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 高校生について同様に調査したところ、ネットいじめの加害行動経験で最も多いものは「ネット上で、同じ学校の人をからかった」の4.7%に対し、学校でのいじめの加害行動経験は「同じ学校の人をからかった」の27.6%であった(図表2-1-3-5)。

図表2-1-3-5 ネットいじめの加害行動経験と学校でのいじめの加害行動経験(高校生:上位5件)
図表2-1-3-5 ネットいじめの加害行動経験と学校でのいじめの加害行動経験(高校生:上位5件)
最も多いのはネットでは「ネット上で、同じ学校の人をからかった」の4.7%、学校では「同じ学校の人をからかった」の27.6%
(出典)鈴木佳苗・坂元章「インターネット利用といじめの関係性に関する研究」(平成23年)
(総務省・安心ネットづくり促進協議会「インターネット上の有害情報による青少年等の社会性への影響に関する調査研究」(平成23年)より)

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 これに対して高校生のいじめの被害経験についてみると、ネットいじめの被害経験で最も多いものは「ネット上に、自分の画像(絵画や写真など、加工したものも含む)を無断で掲載された」の3.6%に対し、学校でのいじめの被害経験は「からかわれた」の17.0%であった(図表2-1-3-6)。

図表2-1-3-6 ネットいじめの被害経験と学校でのいじめの被害経験(高校生:上位5件)
図表2-1-3-6 ネットいじめの被害経験と学校でのいじめの被害経験(高校生:上位5件)
最も多いのはネットでは「ネット上で、同じ学校の人をからかった」の4.7%、学校では「同じ学校の人をからかった」の27.6%
(出典)鈴木佳苗・坂元章「インターネット利用といじめの関係性に関する研究」(平成23年)
(総務省・安心ネットづくり促進協議会「インターネット上の有害情報による青少年等の社会性への影響に関する調査研究」(平成23年)より)

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●ネットいじめよりも学校のいじめの方が加害行動経験、被害経験ともに多い

 以上より、ネットいじめの加害行動経験、被害経験は小学生から高校生を通じて少なく、学校の加害行動経験、被害経験はネットいじめよりも多かった。
 また、ネットいじめによる加害行動経験、被害経験は年齢が上がるにつれて増える傾向にあることも示された。


7 アンケートは、加害行動経験を尋ねるものと被害経験を尋ねるものの2種類があり、別の学校を対象として実施した。調査対象は、全国の小学校38校、中学校56校及び高等学校19校である。調査対象の詳細については付注4参照
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