第3部 情報通信の現況と政策動向
第5章 情報通信政策の動向

第6節 研究開発の推進


1 我が国の国際競争力を強化するための研究開発戦略

 総務省では、我が国の科学技術政策の根幹である「科学技術に関する基本政策について(答申)」(平成22年12月総合科学技術会議)を踏まえて研究開発の推進に取り組んでいる。我が国は天然資源に乏しく、少子高齢化や人口減少が見込まれており、科学技術によるイノベーションは将来に向けた唯一ともいうべき競争力の源泉であり、中でも我が国が強みをもつICT関連の研究開発の推進が期待されている。
 そのような背景の下、総務省では、政府全体の科学技術政策や「新成長戦略」(平成22年6月閣議決定)等との連携を図りつつ、情報通信システムの省電力化及びICTの活用による社会の低炭素化等を目指す「グリーンイノベーション」、情報通信サービスの利便性・安心・安全の向上及びICTを活用した医療・介護・健康増進等を目指す「ライフイノベーション」、及び我が国が強みを持つ技術により新産業の創出を目指す「未来革新」を、我が国の国際競争力強化及び社会問題解決に向けて推進することとしている。
 また、独立行政法人情報通信研究機構(NICT:National Institute of Information and Communications Technology)は、情報通信分野を取り巻く現状や政府全体の科学技術等を踏まえつつ、平成23年度から5年間にわたる第3期中期目標期間において、NICTが持つ強みや、第2期中期目標期間までに達成した研究成果及び技術の蓄積、今後さらに向上が求められる技術レベルなどを考慮した研究開発課題を設定している。個別研究課題の推進に当たっては、各研究分野において世界水準を確保していく研究開発力強化のため、技術的親和性の高い課題をまとめた効率的な研究マネジメントと、それによる体系的な成果創出を重視した体制を構築する観点から、「ネットワーク基盤技術」、「ユニバーサル・コミュニケーション基盤技術」、「未来ICT基盤技術」及び「電磁波センシング基盤技術」の四つの領域に集約の上、効率的・効果的に研究開発を推進している。
 変化の早い情報通信分野の状況変化を踏まえた、今後取り組むべき研究開発課題、研究開発の仕組み(システム)の在り方、産学官の役割分担の在り方について、平成23年2月に情報通信審議会に諮問した。これを受け、情報通信審議会情報通信政策部会の下に研究開発戦略委員会が設置され、検討が進められているところである。総務省では、こうした検討の結果を踏まえて、研究開発の効率的かつ効果的な推進を図ることとしている。
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