第3部 情報通信の現況と政策動向
第5章 情報通信政策の動向

(2)教育の情報化の推進


 我が国の次世代を担う子どもたちが、早い段階からICTに親しみ、情報活用能力を向上させ、新しい知的価値や文化的価値を創造できる社会を構築することは大変重要であり、総務省では以下の取組を実施している13

ア フューチャースクールの推進
 総務省では、教育分野でのICT利活用を推進することを目指し、情報通信技術面を中心とした課題を抽出・分析することとして、平成22年度より、「フューチャースクール推進事業」に取り組んでいる(図表5-4-4-1)。

図表5-4-4-1 フューチャースクール概要
図表5-4-4-1 フューチャースクール概要

 平成22年度は、全国2ブロック10学校の公立小学校を対象に、協働教育プラットフォーム(教育クラウド)を核としたICT環境を構築し、デジタル教材(教科書)、ポータルサイト、ICTサポート等を一元的に提供するとともに、タブレットPC(全児童1人1台)やインタラクティブ・ホワイト・ボード(全普通教室1台)等のICT機器を用いた授業を実践し、学校現場における情報通信技術面を中心とした課題の抽出・分析、技術的条件やその効果等について実証実験を行っている。
 実証研究の成果については、総務副大臣主催の「ICTを利活用した協働教育推進のための研究会」による検討結果を踏まえ、平成23年4月に「教育分野におけるICT利活用推進のための情報通信技術面に関するガイドライン(手引書)2011」を策定し、公表している。
 平成23年度は、文部科学省の「学びのイノベ―ション事業」と連携し、中学校8校、特別支援学校2校を実証校として追加した上で、ガイドラインの内容の充実を図ることとしている。

イ 校務分野におけるICTの利活用の推進
 昨今、校務の軽減化と効率化の手段として、校務分野に関するICTの利活用が期待されている。その中でも、容易に利用を開始することができ、利用者側への負担が比較的少ないASP・SaaSを活用した校務の情報化が注目されている。しかしながら、校務情報には、指導要領や児童・生徒の健康観察結果等の個人情報も含まれることから、ASP・SaaS事業者においては、これらの個人情報の適切な取扱いが重要である。
 そこで、総務省は、総務省とASPICが合同で設立した「ASP・SaaS普及促進協議会」における「教育分野サービス展開委員会」における検討を受け、平成22年10月に「校務分野におけるASP・SaaS事業社向けガイドライン」を公表した14


13 参考:教育の情報化推進ページ:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/index.html
14 「校務分野におけるASP・SaaS事業社向けガイドライン」の公表:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_01000004.html
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