第2部 特集 共生型ネット社会の実現に向けて
第1章 ICTにより国民生活はどう変わったか

(2)SNSの変遷


 コミュニケーション行動と親和性の高いSNSについて、ライフスタイルの変化と併せて分析を行う。10代・20代の発信行為において、SNSへ書き込む割合が大きいなど、近年、注目を集めているサービスであるが、どのように変遷しているのであろうか。特徴的なサービスとして、ブログ、Twitter、SNSを中心に分析を行った。

●SNSやTwitterサービスの拡大傾向が続く

 ブログは以前より利用されていたが、平成15年に無料ブログが登場したことで、個人でも容易、かつ気軽にブログを立ち上げることが可能になったこともあり、アクティブなブログ数(1か月のうちに更新のあったブログ)が平成16年から18年にかけて急激に増加した(図表1-3-1-7)。

図表1-3-1-7 国内のアクティブブログ数の推移
図表1-3-1-7 国内のアクティブブログ数の推移
ブログは平成18年まで急激に増加し、安定的に利用される傾向に
(出典)総務省「ICTインフラの進展が国民のライフスタイルや社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査」(平成23年)
(総務省情報通信政策研究所「ブログの実態に関する調査研究の結果」(平成20年)により作成)

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 また、平成16年にmixiやGREE、平成18年にはモバゲータウンなどのSNSがサービスを開始し、その後サービスを拡大している(図表1-3-1-8)。平成20年には、Twitterの日本語版インターフェースが利用可能となり、急激にその利用者が増加している。一方、ブログについては、平成18年以降も安定的に利用される傾向がみられる。

図表1-3-1-8 国内のSNSユーザー数の推移
図表1-3-1-8 国内のSNSユーザー数の推移
平成16年以降、各サービスが開始し
(出典)総務省「ICTインフラの進展が国民のライフスタイルや社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査」(平成23年)

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 平成19年版情報通信白書3でも指摘したとおり、SNSやTwitterにおいては、同じSNSやTwitterを利用する人が増えれば増えるほど、多くの人とコミュニケーションを図る機会が増えるネットワーク効果が働くと考えられる。そのため、SNSやTwitterの利用者が、利用の満足度をより向上させるために、自らが利用しているサービスに非利用者を誘い込む動きがあったことが、SNSの利用者が増加した要因として考えられる。

●SNSにはつながりを持つこと、Twitterには気軽に利用できることをメリットと感じている

 では、具体的にはそれぞれのサービスをどのような目的で利用し、メリットを感じているのだろうか。
 利用目的を見ると、ブログ、SNSについては、「自分の興味・関心のある情報を伝えたいから」、「自分の興味・関心のある情報を知りたいから」が上位となっており、自分に関する情報の受発信が目的となっていることがうかがわれる。一方、Twitterは「自分の興味・関心のある情報を伝えたいから」は、ブログ及びSNSと共通するものの、「自分の近況を伝えたいから」も上位となっており、特に自分に関する情報発信の場としての認識が強いことがうかがわれる(図表1-3-1-9)。

図表1-3-1-9 コミュニケーションツールの利用目的
図表1-3-1-9 コミュニケーションツールの利用目的
Twitterは「自分の興味・関心のある情報を伝えたいから」、「自分の近況を伝えたいから」が上位
(出典)総務省「リアルタイム・マルチコミュニケーションツールに関する利用状況に関する調査」(平成22年)

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 また、利用メリットを見ると、ブログは「不特定多数の人を相手に情報の受信/発信ができる(45.0%)」といった「不特定多数との情報の受発信」、SNSは「共通の興味・関心を持つ人とつながりを持つことができる(32.6%)」といった「共通の趣味・関心を持つ人とのつながり」が上位となっているが、Twitterには「簡単な操作で気軽に情報の受信/発信ができる(55.4%)」、「書き込める文字数が制限されているため、情報を簡潔に受信/発信することができる(41.9%)」といった「気軽に、簡単に」が上位となっており、それぞれ異なる傾向がみられる(図表1-3-1-10)。

図表1-3-1-10 コミュニケーションツールの利用メリット
図表1-3-1-10 コミュニケーションツールの利用メリット
Twitterでは「簡単な操作で気軽に情報の受信/発信ができる」が上位
(出典)総務省「リアルタイム・マルチコミュニケーションツールに関する利用状況に関する調査」(平成22年)

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 近年、コミュニケーションツールの多様化が進んでいるが、利用者はコミュニケーションの利用シーンにより、その目的やメリットにあったサービスを利用する傾向があることがうかがわれる。


3 平成19年版情報通信白書P159コラム「SNSとネットワーク効果」
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