第3部 情報通信の現況と政策動向
第5章 情報通信政策の動向

(3)国民ID制度の導入


 国民ID制度は、情報通信による国民の利便性の向上、公平な負担、社会的弱者への確実な給付等を実現するため、行政機関等が保有する国民に関する情報を、個人情報保護の確保を図りながら、IDを利用し、情報保有機関相互間で安全かつ効率的に情報連携を行うための仕組を整備しようとするものである。「新たな情報通信技術戦略」においては、国民本位の電子行政を実現するため、社会保障・税の共通番号の検討と整合性を図りつつ、電子行政の共通基盤として、官民サービスに汎用可能ないわゆる国民ID制度の整備を行うこと等とされている。
 国民ID制度については、平成22年9月から、IT戦略本部企画委員会に設置された電子行政タスクフォースにおいて、また、社会保障・税の共通番号制度については、同年11月から、社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会において、それぞれ検討が開始された。これらの検討を経て、平成23年1月に、政府・与党社会保障改革検討本部において、「社会保障・税に関わる番号制度についての基本方針」が決定され、平成27年1月以降、社会保障・税の共通番号の利用が開始されるというスケジュールが示された。
 そして、国民が窓口等で利用する番号の整備(社会保障・税に関わる番号制度)と、各機関間の情報連携の仕組の構築(国民ID制度)を一体的に進めるため、平成23年2月から、両制度で共通する第三者機関創設等の個人情報保護の仕組や情報連携基盤等について、以上の実務検討会及びIT戦略本部企画委員会の下に設置された個人情報保護ワーキンググループ及び情報連携基盤技術ワーキンググループにおいて、共同で検討が開始された。
 平成23年6月30日には、政府・与党社会保障改革検討本部において、制度設計の内容、制度の円滑な導入、実施、定着、利便性の向上に向けた実施計画等について、政府・与党として今後の方向性を示す「社会保障・税番号大綱」が取りまとめられた。
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